なぜ日本のインテリは語学オンチなのか?
元イェール大助教授が伝授!最強の英語勉強法(1)
イェールでも「日本人だけ」英語ができない!?
――「日本で大学教授を続けたい」という思いはなかったのですか?
日本に戻ることになったとき、いくつかの大学からは「うちで教えませんか?」という話を非公式ながらいただきましたが、最終的にはすべてお断りしました。
イェールで教えていたのは「比較政治経済学」という分野です。これは要するに、政治制度が経済政策などにどんな影響を与えるかを研究する学問です。特に日本の選挙制度と自民党長期政権が経済政策にどういう影響を与えてきたかといったことを専門にしていました。
これをまとめた『自民党長期政権の政治経済学』(勁草書房)で日経・経済図書文化賞をいただき、研究者としてのキャリアにひと区切りがついたなという思いはありましたね。
――そこでまた、英語塾の経営という道を選ばれたのはなぜですか?
端的に言えば、「日本人の英語があまりにひどいから」ですね(笑)。
イェール大学の学生に占める留学生の割合は1割程度。決して多くはありませんが、世界中から優秀な学生たちが集まっています。
20年以上前、学部生だった頃に交換留学でアメリカに渡ったのですが、当時は日本人だけでなく、たとえば韓国人や中国人も含めて、アジア圏から来た留学生は、はっきり言って「みんな英語が下手」でした。
ですが、時間が経つにつれて、ちょっとずつ状況が変わってきています。
韓国や中国からやってくる学生たちの渡米直後の英語力の水準が、どんどん上がってきている。最近だと、イェールに来た時点で、ある程度の英語力がついているから、その後の成長もすごく早いですね。
それに比べると、日本から来る学生は、今も昔も「とにかく英語で苦労している」という印象でした。膨大な予習や課題をこなさなければならないし、授業でも積極的な発言が求められますから、ついていけない日本人学生も出てくる。
――でも、イェールに入学できたということは、みなさん、十分に優秀なんですよね?
そうだと思います。だからこそ、「日本でエリートとされている学生の英語レベルがこの程度ということは、事態はかなり深刻だな」という思いがありました。
また、日本の学者がアメリカを訪問したときは、私がアテンド役になることもありましたが、そのときにも同じことを感じましたね。日本の一流大学で英文学を教えている先生方でも、私たちが通訳しないと資料ひとつ出てこないというようなこともありました。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら