「しにくい」「しづらい」使い分けできていますか 「日本人だからこそ」知らない日本語を解説
宮本:いつの間にか、違う使われ方をして市民権を得ている言葉もたくさんありますね。笑い方というと、間違いやすいのは「爆笑」や「失笑」でしょうか。「爆笑」は、大勢が大声でどっと笑うことを意味しますから、本来は「1人で爆笑」というのはありえません。1人の場合は「大笑いする」というのが正しいでしょう。使い方としては「彼の芸を見て、観客全員が爆笑していた」というように使います。
しかしながら、2018年に改訂された『広辞苑』の第7版では、「はじけるように大声で笑うこと」と修正されました。そう、第6版では「大勢」という人数の指定があったのですが、なくなっているのです。
アン:「爆笑」が、1人でも市民権を得たということだね!
宮本:言葉は人が使うものですから、古語を私たちが普段使いしていないように、変化していく傾向があります。ただ、本来の意味を知ったうえで使用できるようになりたいものですね。
意外と間違って使っている「失笑」
宮本:「失笑」。これも誤用が多い言葉です。多くの人が、笑いを失うほどにあきれる、という様子を思い浮かべると思います。
これは「失う」という字からイメージしているものだと思いますが、この場合の「失」は、「うっかりする」という意味で使われます。「うっかり言ってしまう」という意味の「失言」と同じ使い方ですから、「失笑」は本来笑ってはいけない場面で我慢できずに笑いが込み上げてしまうことを意味します。
アン:「失笑」には、冷ややかな目で見るとか、軽蔑するという意味は本当はなかったんだね!
宮本:そうです。しかしながら、文化庁が毎年行っている「国語に関する世論調査」では2011年に失笑を本来の意味で使っている人が27.7%、60.4%は「笑いも出ないくらいあきれる」というような逆の意味で使っているという結果が出ました。
アン:なるほど。「失笑」も、真逆の意味で市民権を得てしまったということか! 日本語の勉強をしていると、アンちゃんは楽しくて笑いが止まらなくなるよ!
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