「しにくい」「しづらい」使い分けできていますか 「日本人だからこそ」知らない日本語を解説

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宮本:では次の質問です。次の2つはどちらが正しいと思いますか?

■A 彼は、仕事をおざなりにしている
■B 客への対応がなおざりだ

アン:これは「おざなり」しか聞いたことがないよ。「なおざり」もあるの?

宮本:はい。2つとも言葉としては正しいのです。ただし、意味が違います。ともに「いい加減な対応である」ということは同じですが、「おざなり」は「それをやってはいるけれどもいい加減」、「なおざり」は「そもそもやっていない」という意味です。

「おざなり」の語源は「御座の形(なり)」。宴会の席などで、形だけ取り繕った言動を指したものとされています。一方、「なおざり」の語源は、「なほ(直・猶)+さり(去)」。「なほ」は「そのまま」、「去り」は「遠ざける」。それで「何もせずに放っておく」という意味です。

アン:正しい日本語を使うには、本来の意味を知る、探究する姿勢が大切だってわかったよ。アンちゃんは日本語をおざなりにはしないよ!

「上には上がいる」は間違い?

宮本:いえいえ、アンちゃんほどの情熱で日本語を勉強しようという人を私はほかに知りません。頭が下がる思いですよ。

アン:そんなことはない! きっと上には上がいるから、もっと勉強したい!

宮本:おっと! アンちゃん、今言った「上には上がいる」は、残念ながら正しくありません。正しくは、上には上が「ある」。これは、さらに優れたものが必ずあるという意味で己をいましめるときに使う言葉ですが、人ではなく物に使われます。ですから、人に対しては使いません。「上がいる」は間違いなのです。

「1人で爆笑」って間違ってる!? (イラスト:なとみみわ)

アン:日本語を勉強していた当時に教科書で習った日本語と、いま実際に使われている日本語が違うものが結構あって、混乱する。例えば、笑い方も、アンちゃんが習ったものと違うんだ。

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