中国の不動産会社が、マレーシアに走るワケ 投資額は、豪州や香港向けよりも上回る

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3月12日、中国本土の投資家が、不動産購入規制のある香港やシンガポールに代わる投資先としてマレーシアに目を向け、同国のより安価な不動産に多額を投じ、より高いリターンを狙うなか、中国の不動産開発業者はマレーシアへの投資を拡大している。クアラルンプールで2010年11月撮影(2014年 ロイター/Bazuki Muhammad)

[香港 12日 ロイター] -中国本土の投資家が、不動産購入規制のある香港やシンガポールに代わる投資先としてマレーシアに目を向け、同国のより安価な不動産に多額を投じ、より高いリターンを狙うなか、中国の不動産開発業者はマレーシアへの投資を拡大している。

中国の国有不動産開発会社、緑地控股集団(グリーンランド・グループ)は今月、マレーシアの住宅・ホテル建設プロジェクト2件に33億ドルを投じると発表した。マレーシアにはすでに中国から碧桂園(カントリー・ガーデン)<2007.HK>、広州富力地産<2777.HK>、雅居楽地産(アジャイル・プロパティ)<3383.HK>が進出しており、過去2年の投資額は合計27億ドルにのぼる。

不動産コンサルティング会社サヴィルズによると、2013年に中国の機関投資家と個人投資家がマレーシアの不動産に投資した額は合計19億ドルで、香港への8億6700万ドル、シンガポールへの18億ドル、オーストラリアへの10億ドルを上回った。ただ、英国や米国の不動産への投資額には及ばなかった。

グリーンランドの張玉良会長は「マレーシアには大きな中国人コミュニティが存在し、外国人投資家をひきつける政策をとっているため、新たな投資先となった」と指摘。

また、グリーンランドが投資する理由として、マレーシアの安定した経済成長、同グループが投資するジョボールバルの大規模人口が生む需要、国内主要都市やシンガポールと近接していること、移民政策の確立を挙げた。

不動産投資会社IPグローバルのティム・マーフィー最高経営責任者(CEO)は「マレーシアは首都の価格設定で比べると、アジアの中で最も割安だ」と指摘。マレーシアの不動産は外国人保有率が高いことや融資を受けやすいことも魅力だ、と述べた。

また、香港とシンガポールで、非居住者が不動産を購入する際に15%の印紙税が課されることが多くの外国人に購入をためらわせていると指摘した。

不動産コンサルティング会社ナイト・フランクによると、マレーシアの高級住宅の販売価格は1平方メートル当たり2300─5600ドル。シンガポールの同2万7600─3万3700ドル、香港の4万3700─5万3500ドルと比べてかなり安い。さらに、マレーシアの平均賃料利回りは4─6%と、シンガポールの3%、香港の2.5%よりも魅力的な水準だ。

非居住者向け住宅ローンの条件も香港やシンガポールよりも良い。マレーシアでは不動産価格の70%まで買い入れが可能だが、シンガポールでは40─60%、香港では30─50%に制限されている。

しかし、中国の不動産開発会社はマレーシア進出にあたり課題にも直面している。地元政府の厳しい管理下にある土地の確保だ。

東南アジアの不動産開発事業に投資するプライベート・エクイティ・ファンドの幹部は「好条件の土地は地元政府が管理しているため、良い開発チャンスを見出すのは難しい。こうした土地にアクセスできるのは、地元の開発業者、政府関係者の親族、政治関係者に限られている」と述べた。

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