au対ソフトバンク、高額「囲い込み合戦」の異常 改正法の施行後も、携帯の乗り換えに高い壁

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このauの最大8万円超の光通信の解約金や長期間の拘束を意識したうえで、これを逆手に取った高額なキャッシュバックで対抗するのがソフトバンクだ。

ソフトバンクの各ショップは「他社からソフトバンクの光通信に乗り換えれば、最大10万円のキャッシュバックで他社の解約費用を全額補填します」などとうたい、積極的な勧誘をしている。auの光通信の最大8万円超の解約金をすべて賄えるように設定した金額だ。

高額な獲得コストでも採算は十分合う

ソフトバンクがそこまでするのには、明確な狙いがある。

高額なキャッシュバックで光通信の契約を奪い取れれば、セット割引対象の携帯通信の契約も奪える可能性が高い。そして、今度はソフトバンクの光通信の解約金が携帯通信に対しても囲い込みの効力を発揮するようになるのだ。そうなればその後は、長期間にわたり携帯通信と光通信の料金が入ってくることが期待できる。

ソフトバンクの宮内謙社長は昨年5月に開いた2019年3月期の決算会見で、「光通信とセット加入の場合の携帯通信の解約率は0.6%で、セットじゃない場合の1.1%の半分ほどだ」と述べていた。

一見すると異常なほど高額な獲得コストをかけても、のちのち十分に採算に見合うだけの効果の裏付けがあるというわけだ。

このような事情で、auとソフトバンクの間では激しい攻防が続いている。その結果、auの光通信でひとたび囲い込まれた利用者に残される選択肢は、長い間、光通信も携帯通信もauとの契約を続けるか、両方ともソフトバンクに移るかの二択にほぼ限られる。

こうした現状について、通信業界に詳しいMM総研の横田英明常務は、「多くの人にとって、携帯通信の契約は今や単体で選ぶものではない」と前置きしたうえで、「携帯通信の囲い込みを制限するだけでは意味がない。光通信の露骨な囲い込みにもメスを入れる必要がある」と指摘している。

奥田 貫 東洋経済 記者

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おくだ とおる / Toru Okuda

神奈川県横浜市出身。横浜緑ヶ丘高校、早稲田大学法学部卒業後、朝日新聞社に入り経済部で民間企業や省庁などの取材を担当。2018年1月に東洋経済新報社に入社。

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