楽天、携帯事業開始「半年遅れ」が手痛い事情 参入前に大手3社が囲い込みを推進

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2019年9月、携帯電話事業について語る楽天の三木谷浩史会長兼社長(撮影:風間仁一郎)

楽天の三木谷浩史会長兼社長は1月6日、東京都内で報道陣の取材に応じ、傘下の楽天モバイルの携帯事業について「4月にサービスインする。万全を期して二重、三重、四重の手を打ち、安定的なサービスになるように頑張る」と述べた。具体的な開始時期に言及するのは初めてだ。

本来は、昨年10月からのサービス開始を予定していた。だが、基地局の整備が大幅に遅れた影響で結局、同月から現在まで、東京23区、大阪市、神戸市、名古屋市在住の5000人を対象にしたモニタリング目的の無料サービスを行うのみにとどまっている。

そのうえ、楽天モバイルはこの限定的なサービスでも昨年12月、電波がつながりにくくなる通信障害を起こした。通信品質への大きな不安は依然として残る。それでも、ようやくスタートラインに立てるメドがついたようだ。

大手各社が「新たな」囲い込み策

ただ、この半年間の遅れが顧客獲得競争に及ぼすダメージは、小さくなさそうだ。競争環境の大きな変化に対応した大手キャリアの囲い込みが、日を追うごとに進んでいるからだ。

2019年10月は、キャリアの囲い込みを問題視する政府が電気通信事業法を改正し、スマホの販売や携帯通信の契約のルールを劇的に変えた転換点でもあった。

具体的には、大手キャリアはそれまで、利用者に2年契約に加入させたうえで途中解約に9500円(税別、以下同)の違約金を課して囲い込んできたが、改正法では違約金の上限を1000円に制限した。

また、それまで横行してきた、他社からの乗り換え条件にスマホを「実質0円」まで値引いて販売する手法にもメスを入れ、通信契約とセットにしたスマホ販売の値引き幅の上限を2万円にした。

これらを定めた改正法の関連省令の中身が固まったのは2019年6月中旬だが、同年3月に改正法案が国会に提出された段階で、すでに従来の囲い込み策が規制される方向性は判明していた。そのためキャリア各社はその頃から10月の施行をにらんだ新たな囲い込み策を練っていた。

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