家余り時代に入居希望者を増やす「ひと工夫」 住宅流通を救う!?ホームステージングの実力
次は、近年増えている賃貸住宅の事例を紹介しよう。ホームステージングコンテスト受賞の常連ともいえるのが、賃貸オーナーの林 浩一さんだ。
林さんは横浜市に複数の賃貸住宅を所有し、賃貸オーナー業は10年程度になる。サラリーマン時代に海外旅行や海外駐在の経験を持つ林さんは、海外で小物を集めたり、ガレージセールを見たり、オープンハウスを見学したりしていた。
自らホームステージングを行うように
賃貸オーナーとしては、バス便立地や築年数の経った賃貸物件に課題を感じ、8年前から海外で集めた小物などを使って自らホームステージングを行うようになった。私物を使って自分で行っているので、とくに費用は掛からないが、入居募集での効果は大きいという。
賃貸オーナー自らホームステージングを行うメリットとして、「地域特性や入居者属性がよくわかっているオーナーが行うことで、しっかりターゲティングができる」ことを挙げている。
2018年に受賞した事例では、2LDKのファミリー物件のリビングと子ども部屋をステージングした。この賃貸住宅では20代の新婚カップルから子どもが小さい30代のファミリー層が多いので、子ども部屋に工夫を凝らした。
相場賃料よりも1.5万円ほど高い賃料ではあるが、テントと積み木を新たに購入して子どもとの暮らしをイメージできるようにしたところ、ステージング後1週間で20代カップルが内覧し、成約に至った。
また、2019年に受賞した事例では、DIY+ホームステージングを行っている。9年間住み続けた入居者が退去したので、傷みはなかったが使用感があったので、2LDKのうちLKとトイレの壁・床をDIYで張り替えたり塗ったりした。
林さんがそこに、20~30代の人でアンティーク好きが多いことから、アンティークをテーマにしたステージングを施した。大きなテーブルは100年ほど前のフランスドアを天板にした特注品だ。
さてDIYについては、DIYの世界では知られたデザイナーの橋場まやさんに依頼した。費用に20万円ほど要したが、すてきな部屋に仕上がったので、筆者が取材した時点では雑誌などの撮影スタジオとして貸し出していた。賃貸物件としては、これから募集を開始する予定だという。
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