弘兼憲史「定年後に田舎暮らしなんて甘すぎる」

逆に都心に住むのも粋な選択肢の一つだ

憧れだけではやっていけません(写真:Fast&Slow/PIXTA)
50代からは体力や気力の衰え、収入の減少、親の介護など、さまざまな困難が待ち受けています。
「孤独な老後をどう謳歌する?」「介護問題をどう乗り越える?」「人やモノとの付き合い方は?」――。『課長 島耕作』シリーズで知られる漫画家の弘兼憲史氏が50代になったら考えたい「老いじたく」についてまとめた『俺たちの老いじたく 50代で始めて70代でわかったこと』(20年前の執筆書を適宜加筆して2019年11月に新装復刊)の第4章「捨てる、残す・・・・・・モノ、人との付き合い方」から一部抜粋してお届けします。

田舎暮らしは少しずつ準備と行動を

定年になって、のんびり田舎暮らしをしようという考えは、甘すぎるかもしれない。

今でも田舎は、新参者を嫌う傾向がある。40代で田舎暮らしに踏み切った人が味わったのは、受け入れられることの難しさだった。

道ですれ違っても無視されるなんて序の口だ。葬式に奥さんだけが出席したことを非難される。夫は朝早くから通勤で不在なのだ。いつも誰かに監視されているような気配がある。

なんとか受け入れてもらおうとして、雪が降れば一番に飛び出して公道の雪かきをやり、役員を買って出、力仕事は何でもした。近所の老人が急病になれば町の病院まで車で連れていった。5年過ぎてやっと受け入れられるようになった。

「体力がなければ田舎暮らしは無理ですね。自分たちは体力のある40代のうちに引っ越したからよかったけれど」

本当に田舎暮らしをするなら、なるべく早く移って土地に溶け込む努力を惜しまないことだ。

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