家余り時代に入居希望者を増やす「ひと工夫」 住宅流通を救う!?ホームステージングの実力
内覧者が増える理由は、住宅を探す人の多くがインターネットに掲載される写真を重視することから、ホームステージング後の写真が魅力的に見えることにあるだろう。さらに、内覧時に室内空間での生活イメージが湧くことで、購入・入居意欲が高まり、早く成約することができるようになる。早く成約すれば値下げをする必要がないので、高く売ったり貸したりすることにつながる。
では、ホームステージングによってどれだけ魅力度が増すのだろう? 日本ホームステージング協会では、毎年、ホームステージングコンテストを実施している。そのコンテスト受賞作からいくつか事例を紹介していこう。
モデルルームのようなすてきな暮らしを演出
まず、売買の中古マンション(空き家)の事例を紹介しよう。
世田谷区で広さは約120㎡(4LDK+DEN)あり、売り出し価格が1億円近くになるためか、築12年とさほど古くはなかったものの、売り出しから半年経っても買い手が見つからなかった。そこで売り主夫婦は自らの判断で、リフォームを行い、ホームステージング事業者を探して依頼をしたというのが経緯だ。
依頼を受けたのは、ホームステージングTOKYOの中林利恵子さん。まだ珍しいが、ホームステージング専業の事業者だ。ホームステージング費用は、全室、設置期間1カ月で25万5000円(税別)で受けた。
中林さんによると、「新築のモデルルームのように隙間なく家具を敷き詰めるのではなく、各部屋のよさを引き出すように演出するのがポイント」だという。洗練された高級感を出すこと、日当たりのよさをアピールすることなどを考慮して、リビング・ダイニングにはカッシーナのガラステーブルを中心に据え、全体的にイエローを基調にカラーコーディネートしながら、家具や小物、植物(造花)などを選んだ。
ステージング後すぐに買い手が見つかったが、ローン審査に時間がかかり、契約が成立して撤去の依頼まで1カ月半になったため、最終的には34万5000円(税別)の請求金額になった。「内覧者から部屋をどのように使っていたかとよく聞かれたが、ホームステージング後は見てイメージしてもらうことができた」と、売り主夫婦の満足度も高い。
ちなみに、ホームステージングTOKYOの料金設定(税別)は、家具ありのスタンダードタイプのステージングで、ワンルーム:13.5万円、1LDK:16.5万円、2LDK:19.5万円となっている。
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