平成の「節約セオリー」がもはや通用しないワケ

"モノ"を節約してもどうにもならない

しかし、これはあくまで夫婦+子どもという世帯ベースの話。日本各地で非婚化が進み、増えつつある単身者の場合は、家計の姿がまるで異なる。筆者はこの1年、独身者の家計について話を聞く機会に恵まれた。そして、上記のような見直し術が、まるで役に立たないことを痛感している。そこに見えているのは、まったく別の生活風景だからだ。

まず、彼らの支出のメインボリュームを占めるのは、外食費そして交際費だ。食費がそっくりここに含まれるといっていい。家に帰っても1人だし、食事はしなくてはならないので、飲み仲間に誘われると必ず付き合う。

仲間との付き合いは大事だし、お金がないから行けないとは口が裂けても言いたくない。さすがにアルコール入りでは最低でも1回2000円、中には年下の子にはおごるもんだからと5000円は出すという女性もいた。

シングルの不可欠な支出「つながりコスト」とは

筆者はこれをシングルゆえの、「つながりコスト」と名付けている。誰かとつながるための食事代は、簡単には節約できない。例えば、ウイークデーの食事(ランチ含む)をすべて外食、1日平均3000円とすると、それだけで月6万円だが、これは珍しい数字ではない。

また、独身男性の場合、会話がしたくて女性とお話できる店に通う人もいる。「寂しさ支出」とでも言おうか。こちらも結構な支出額になるだろう。これまで料理もしたことがないそういう男性に「自炊に切り替えて外食を減らしましょう」というアドバイスが、まったく無意味なのはおわかりだろう。

いや、女性だからと言って誰もが料理が好きでも得意なわけでもない。食費のやりくり効果は料理スキルに比例する。安く買った食材を使い切る腕があってこそ節約といえるのだ。しかし、料理好きでない人が1人分の料理を作るのは逆にコスト高で、それなら惣菜や弁当を買ってきたほうが安いことも多い。

とはいえ、節約のために毎日牛丼のテイクアウトやコンビニ弁当で食費を抑えようとアドバイスするのも、何か違う気がする。シングルだからこそ誰かと食事したい、会話をしたいというコストは、減らしていいかと言えば、たぶん違うだろう。

入ってくる給料も1人分だと、家賃とこうした食費・交際費を含む「つながりコスト」で、半分以上使ってしまう。首都圏のワンルーム暮らしで家賃8万円に、こうした支出が5万~6万円(安くて)だとすると、それだけで13万~14万円。これに、日用品代や光熱費・通信費、レジャーや趣味にかけるお金(これもつながりがあるのでなかなか削れない)も発生する。

洋服だの美容費だのは、見るとそれほどかかっていない。いや、収支を見るととてもかけられる余裕がない。モノを買わない若者が増えたと言われるが、買わないのではなく、そっちに回す余裕がないのだ。

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