平成の「節約セオリー」がもはや通用しないワケ "モノ"を節約してもどうにもならない

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昭和・平成の節約は、「やたらにモノを買うな。買うならなるべく安く買え」でよかったのだが、令和時代は、モノなどもともと買っていない。使っているのは、交際費やレジャー費というソーシャルな支出で、「我慢して減らす」という手法が取りにくい。

満足度の高い使い道を優先すべき

そのため、筆者自身はお金の使い方のアドバイスをするときには、「いちばん削りたくない費用はどれですか」と聞くようにしている。限られたお金を有効に使うには、自分にとって満足度が高い使い道を優先すべきだからだ。

自分が使いたい費目にはきちんと使う。その代わり、ほかの支出は我慢する。自分が満足できる使い方ができていれば、それほど寂しい気持ちにはならないものだ。使い道の優先順位をつけることで、節約のストレスは軽減できる。

やっかいな「つながりコスト」に関しては、友人との飲み会が外せないなら、店選びは自分がする。低予算で料理もおいしい、相手も満足する店をリスト化しておく。自分が主催すれば、いくらでおさめるかの算段もできるだろう。

とはいえ、月に5万も6万もかかっているのは問題だから、「行かない曜日」を決めるという方法もあるだろう。同じ曜日なら、誘われても「資格講座に通うことにしたから、これから水曜はダメ」なんて言い訳もしやすい。

誰かとつながりたいと考えるのは人間ならば当然だ。家族というユニットが分解し、1人ずつのユニット同士がつながっていく時代においては、「揺るぎない自分のお金の軸」を持たないと、そのコストは膨大に膨らんでいく。そして、貯蓄に回るはずのお金を食ってしまう。貯めにくい時代がやってきたと、つくづく思う。

松崎 のり子 消費経済ジャーナリスト

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まつざき のりこ / Noriko Matsuzaki

20年以上にわたり『レタスクラブ』『レタスクラブお金の本』『マネープラス』などのマネー記事を取材・編集。家電は買ったことがなく(すべて誕生日にプレゼントしてもらう)、食卓はつねに白いものメイン(モヤシ、ちくわなど)。「貯めるのが好きなわけではない、使うのが嫌いなだけ」というモットーも手伝い、5年間で1000万円の貯蓄をラクラク達成。「節約愛好家 激★やす子」のペンネームで節約アイデアも研究・紹介している。著書に『お金の常識が変わる 貯まる技術』(総合法令出版)、『「3足1000円」の靴下を買う人は一生お金が貯まらない』(講談社)、『定年後でもちゃっかり増えるお金術』(講談社)。
【消費経済リサーチルーム】

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