“学士力”をいかに身につけさせるか--問われる大学の教育力、連携も活発に
大学の「全入化」が進み、学生の質の低下が指摘される昨今。大学にとっては、いかにして学生に必要な学力を身に付けさせ、社会に送り出すかが重要な課題となっている。文部科学省が「学士力」なる言葉を打ち出したのも、そうした課題を認識してのことだ。
教育力向上のため、各大学では現在、さまざまな取り組みが行われている。広島大学の「到達目標型教育プログラム」もその一つだ。
戦前、“教育エリート”を輩出してきた旧制広島高等師範学校を背景に持つ広島大学は、以前から「教育の広大」と言われるほど学生に対する教育には熱心な大学だ。
それでも、既存の学士課程のシステムは今後の社会変化に対応できないのではないか--。そうした危機感を持って学士課程教育の見直しに取り組んだのが2000年。2年後には現在実施中のプログラムの検討を開始し、06年に本格導入した。
目指すべき卒業生像を明確にして動機づけ
「到達目標型教育プログラム」の特徴は、科目ごとの成績に加え、学士号を得るに値する到達目標についても成績評価する点だ(下図)。
プログラムは主専攻(66プログラム)、副専攻(52)、特定(10)の三つからなる。主専攻は学士号取得を目的に全学生が履修するプログラムで、入学時に決定する。副専攻は主専攻の基礎や概要などの学習を目的にしたもの。特定は英語やドイツ語などの語学、学芸員などの資格取得や特定テーマを深く学ぶためのコースで、副専攻、特定ともに2年次から履修できる。