“学士力”をいかに身につけさせるか--問われる大学の教育力、連携も活発に

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複数大学で連携して高校生にアピール

教育研究力を向上させるため、複数の大学が連携を図る動きが活発になっているのも、近年の特徴だ。

理工系3学部を持つ関西大学と大阪医科大学、大阪薬科大学は09年から「医工薬」で連携。3大学のキャンパスがある大阪府高槻市も、戦略的大学連携支援に乗り出した。

この連携では、3大学が設置した「医工薬連環科学教育研究機構」が核となり、各分野の相互理解を助けるカリキュラムの策定、実施に取り組む。単位互換や遠隔授業をはじめ、将来的には共通テキストの作成など連携を深めていく。

連携のキーワードは「人間理解」。「縦割に陥った専門バカにならず、幅広い視野を持って研究に取り組み、その成果を社会に還元するため」と関西大学システム理工学部の倉田純一准教授は連携の狙いを説明する。

たとえば、障害者向けに役立つ技術を開発しても、理工学部の視線からは「技術に障害者を平気で合わせるようなことをしていた」(倉田氏)。医薬学、ひいては生命科学の視点を持つことで、開発した技術は障害者に合ったものとなり、社会により役立つものになることが多いというわけだ。

医学・薬学と、モノを対象とする工学との連携体制を深めることで、医療や福祉の現場で活きる人材を育成していくのが究極の目標。「目指すは生命科学のジェネラリストだ」(土戸哲明・関西大学化学生命工学部教授)。

さらに、社会の動きやニーズを知るためには、地域との関係を深めることも重要だ。連携事業では、高槻市内に41ある小中学校や高校での出張授業や市民向けの公開講座なども実施、学問的な社会還元も積極的に行う方針だ。

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