“学士力”をいかに身につけさせるか--問われる大学の教育力、連携も活発に

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広島大学では、主専攻ごとに「このプログラムは○○として必要とされる、次のような目標の達成を目指す」という形で「目指すべき卒業生像(=到達目標)」を事前に明確化する。そのうえで「学生の評価項目」「教育内容の構造と実施体制」「教育方法」など、各プログラムの細かな内容と到達目標を「詳述書」という形で学生に提示している。この詳述書を見れば「この学年でなぜこの科目を受講するのか、受講すればどのような能力が身に付くか明確になる」と、広島大学大学院の小澤孝一郎教授は説明する。

科目の単位は取得できても、到達目標には未達というケースもよくある。「たとえば英語科目で80点を取れば単位は得られるが、到達目標として設定されたライティングやヒアリングといった能力が未達と評価されることもある」(小澤教授)。

学期ごとに行われる、こうした詳細な評価は、「基本的に学生を褒めるためのもので、モチベーション向上にも役立つ」(小澤教授)。しかも、「受講プログラムの到達度=学生が持つ能力」を示すため、就職活動でも役立つという。

普通、企業が学生の成績表を見てわかるのは科目の「優の数」のみ。だからこそ、数回の面接を行い、学生が持つ能力を見極めて合否を決めている。その点、広島大学の学生の場合、どのような科目を履修し、「学士」にふさわしいどのような能力が身に付いているかが一目瞭然だ。

「詳述書やシラバスに書かれてある内容は、社会でも十分評価されるように作成している」と小澤教授は胸を張る。そのため「目標設定時点で、必要となる科目の新陳代謝も活発になるため、教員側の緊張も相当なもの」。それが授業内容の改善にもプラスに働いている。

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