宴会幹事を新人に任せる会社が時代錯誤なワケ やりたい人が自発的にやればいい
先日、ある新聞で忘年会幹事が苦痛で退職を申し出る新人社員の記事がありました。これに対して、「そんなことぐらいで辞めるなんて」という声から、「そんなに嫌がることを仕事でもないのになぜやらせるのか」という声まで、ネット上ではさまざまな意見があったようです。
この件においては誰が悪いのかということはさておき、まずは時代の変化を受け止めなければなりません。新人たちは忘年会や新年会などの幹事をするのがとても嫌です。せっかく採用した人が辞めてしまう可能性があるなら、会社側は若い社員に幹事をさせないほうがよいと思います。辞めたら、元も子もありませんから。
なぜ会社は新人に幹事をさせたがるのか
ただ、昭和なマネジメントを受けてきたアラフィフ世代の私には、新人に新年会や忘年会の幹事をさせる理由はもちろん理解できます。それは新年会や忘年会を仕切ることは、「仕事の練習」につながるからでしょう。
社内向けのイベントなので失敗しても問題が少ないうえ、ダメなところや改善点があれば身内からフィードバックを受けやすい。仕事であればそうはいきません。となると、新人に本格的な仕事を任せる前に、新年会や忘年会の幹事をさせるのはある意味、合理的な部分もあるといえます。実際、私が新人の頃、新年会や忘年会、運動会などさまざまなイベントの幹事業務からいろいろなことを学びました。
しかし、それも今は昔。もはや時代は変わってしまいました。まずは兎にも角にも「働き方改革」です。日本中が労働時間の短縮、残業減らしに取り組んでいます。さらに、何を労働時間とみなすのかという定義も厳しくなってきています。
そんな中では、昔はなんとなく仕事の一環とみなされてもいた新年会や忘年会も、今では明らかに「仕事ではない」ほうに分類されるでしょう。「仕事ではない」ことを仕事の練習に使うのは矛盾と思われても仕方ありません。幹事に指名するということ自体が「サービス残業」のようなイメージになっているのです。
また、現代はなんでもかんでもハラスメントの時代でもあります。上述した「身内なのでフィードバックが受けやすい」というメリットは、新人にとってはパワハラのように感じるかもしれません。
先輩や上司からよってたかって「あれはイマイチ」「あれはイケてない」と言われれば、まだ社会人経験の浅い新人たちの心が折れてしまう可能性があります。身内だから安心ではなく、むしろ身内だから他人相手の仕事よりもキツイため、仕事の練習感覚にはならなさそうです。
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