意外?アフリカでは「日本人」流が役に立つ

口承文化で書類がない!そのピンチに僕は……

一方で、年長者を敬い、ビジネスの話をする前に、人と人の関係構築を重んじる西アフリカの文化は、日本のビジネス慣習と共通するものがあります。そんな文化で、エリート気取りで、「これはグローバル基準じゃない、改善してください」と、若造の僕が上からモノを言ってはいけなかったのです。その無知のせいで、相手が心を閉ざしてしまった……。これは、アフリカに来て、いきなりガツンと食らったカルチャーショックでした。

この反省から立ち直った後、僕が思ったのは、「そうか、僕は、ハーバードに留学していたときのように背伸びをしなくても、日本人としての『地』を出していいんだ」、ということでした。肩ひじ張らずに、人間関係を大切にし、年長者を敬い、謙虚に話を聞く姿勢を貫こう。そう思ったのです。そして、不思議なことに、「日本人でいこう!」と思ったときから、仕事がうまく回り始めました。

遠くまで行きたかったら、みんなで行こう

アフリカには「急いで行きたかったら1人で行け、遠くまで行きたかったらみんなで行こうよ」ということわざがあります。

西アフリカでの企業経営は、不測の事態と隣り合わせです。停電、断水、輸送インフラ不足による原料納入の遅れ。はたまた機械の故障やスペア部品の不足、従業員のストライキ、政府の許認可がいつまでたっても下りない、などなど予期せぬトラブルと戦う日々です。

そんな中、本当に厳しいときに最後に助けてくれるのは、信頼できるビジネスパートナーや友人なのです。そんな日々の苦労を共感しあって、信頼関係が少しずつ築かれていきます。

そうやって“絆”ができると、初めて「会社を、ワンマン経営で成長させるには限界があるから、中間管理職を育てましょう」とか、「長期戦略を一緒に考えましょう」など、今まで言いづらかった提案も聞いてもらえるようになります。テーブルの反対側からモノを言うのではなく、テーブルの同じサイドに座って、一緒に遠くまで行こうよ、という姿勢がすべてなのかもしれません。

僕が、地球の裏側の西アフリカで最初に学んだこと。それは、「日本人らしく、礼を尽くし、絆を大切にすること」でした。米国流に染まっていた僕には、思いもよらぬ教訓だったのです。

※本稿は執筆者個人の意見であり、世界銀行グループの公式見解を示すものではありません。

 

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