意外?アフリカでは「日本人」流が役に立つ 口承文化で書類がない!そのピンチに僕は……

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ミーティングを終えると、ナイジェリア人の上司「おかん」から諭すように言われました。「ヨースケ、きょうの会議での発言だけれど、私だったら、ああいう言い方はしないわ。西アフリカは、年長者を敬う文化なの。特に私は女性だから、なおさら言えない」。

怒るわけでもなく、否定するわけでもなく、”自分だったら言わない”。そんな「おかん」のやんわりとした言葉に、僕は、少しイラっとしました。もしアメリカだったら、そんな弱気な感じでモノを言ったら、相手になめられる。だからそうすべきでない、と心底思っていたからです。

西アフリカと日本の文化は、実は似ている?

へそを曲げた僕は、翌日からミーティングの仕切りを「おかん」にお願いしました。すると「おかん」は、その後数日をかけて、社長やこの会社の経営陣に聞き取り調査を行い、データをすべて「口述筆記」で書き取ったのです。必要なデータは、なんと、すべて社長の頭の中にありました。しかも、細かい数字まで正確に覚えていたのです。

また、「おかん」の仕切りは見事なものでした。ミーティングが煮詰まると、冗談を言って相手を笑わせたり、重要な話はあえて昼食を食べながらリラックスした雰囲気でしたり……。この会社の人々との関係を深めることで、大事な話を聞き出せるような工夫を凝らしていたのです。

このとき僕は、日本で働いていた頃、クライアントや社内のチームと信頼関係を築くために行っていた「飲みにケーション」を思い出しました。

結局、「おかん」の西アフリカ文化を熟知した仕切りによって、無事に融資の審査資料はそろいました。そして見事、プロジェクトは成功したのです。

西アフリカは伝統的に文字を持たず、口承で物語を伝えていく文化です。そのため、人々の記憶力がとてもよく、ビジネスでも紙の書類をそれほど残しません。この点では、古くから書物で記録を残し、現在でも「議事録」好きな日本とは真逆の文化です。

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