米中貿易合意のカギ握るアイオワ州の重要意義

因縁の地巡る大統領と国家主席の出来レース

1月15日にホワイトハウスで行われた署名式の様子。左が中国の劉鶴(リウホー)副首相。右がトランプ大統領(写真:ロイター/アフロ)
アメリカと中国の両国が「第1段階」の通商合意の調印式を1月15日にホワイトハウスで行った。この背景には、トランプ大統領にとっても習近平国家主席にとっても「因縁の大地」ともいえるアイオワ州が深く絡んでいる。前編記事:『「第1段階の米中合意」に透ける習近平の因縁』

選挙戦においても重要となるアイオワ州

トランプ大統領の再選はあるのか、今年は4年に1度のアメリカ大統領選挙の年にあたる。その年に、真っ先に党員集会が行われるのがアイオワ州だ。他州に先を越されるくらいなら、前年に開いても構わないというほどにこだわりを持つ州で、アメリカの穀倉地帯の中心にあたる。

しかも、このアイオワ州はいわゆるスイングステイトにあたる。共和党、民主党の支持率が拮抗して勝利する政党が変動し、そのまま大統領選を左右する。4年前、2016年の大統領選では、共和党のトランプ候補が51.1%、民主党のヒラリー・クリントン候補は41.7%の得票率だった。

そのアイオワ州のミシシッピ川の畔にある小さな田舎町に、当時31歳の習近平・現中国国家主席がホームステイしていたことは、前編に書いた。

「マーク・トウェインの小説が気に入って、ミシシッピ川を1度見てみたかった」

当時のホストファミリーにそんな衝撃的な言葉を告げている。マーク・トウェインの小説でミシシッピ川が舞台の小説といえば、『トム・ソーヤーの冒険』と、その続編の『ハックルベリィ・フィンの冒険』くらいのものだ。

ホストファミリーによると、地元の農場を回ったり、子どもたちと遊んだり映画を観たりしながら、同時にホームステイした街にあるハインツの工場を、自分からアポイントをとって見学にいっていたという。ハインツといえば、ケチャップの流通・販売が世界一で知られるアメリカを代表する食品加工会社だ。将来の国家主席は、よほど熱心にアメリカの食料事情を学んでいたようだ。

そのアイオワ州の大豆協会を訪れると、建物の廊下には、黒いロングコートを着た習近平が地元の大豆農場を見学している写真が飾られている。

アイオワ州の大豆協会にある、2012年に大豆農場を訪ねたときの習近平の写真。向かって左はテリー・ブランスタッド州知事(当時)=現駐中国大使(筆者撮影)

2012年2月に同州を再訪したときのものだ。まだ国家主席就任前だったが、このときも熱心に現場を視察して、農場主の家族にこう語っていたという。

「私にとっては、ニューヨークよりも、ここのほうがアメリカそのものだ」

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