「自分に自信のない人」が結局、成功している訳

毎日出会う小さなサードドアが人生を変える

例えば、アレックスは、ウォーレン・バフェットへのインタビューを何度も断られた末に、株主総会で直接バフェットに質問することを思いつきます。でも、会場には大勢の参加者がいて、抽選で質問する権利を当てなければなりません。それで、どうすれば抽選に当たりやすいかをとっさにその場で考えます。

そして、いちばん当選確率の高い場所を見つけ、本当に当選するんですよね。失敗しそうな中でも、ちょっとでも可能性があれば考える、こういった行動はなかなかできるものではないと思います。でも、私自身こうありたいと思いながら読みました。

ただ、アレックスも最初は、「成功するための10の法則」のような短絡的なものに飛びついてしまう自己啓発系の若者なんですよね。私もその気持ちはよくわかりますし、そこが人間らしいところだなとも思いました。

成功した人のまねをしても、絶対に成功はしないと思います。成功者の名言は世の中にいろいろありますが、それは、その人が成功するためにやったことの結果を言葉にしただけだと思うんです。ビル・ゲイツやスティーブン・スピルバーグには、成功したから言えることがあるわけです。

ただ言えるのは、いつも問題意識を持って、次はどういうふうにしたらいいかを考え続けることだと思います。そして、アレックスはそれをつねにやっている人だという印象を持ちました。

勘違いから見つかったサードドア

私は、約10年間の会社員を経て、32歳で上京してイラストレーションを学び、35歳でイラストレーターに転身しました。でも、30歳ぐらいまでは、サードドアがあることに気がついてもいませんでしたし、ドアがあれば開けてみようとも思っていませんでした。

松尾 たいこ(まつお たいこ)/アーティスト/イラストレーター。広島県呉市生まれ。11年間勤めた地元の自動車会社を辞め32歳で上京。1998年からイラストレーターに転身。これまで手がけた本の表紙イラストは300冊を超える。現在、東京・軽井沢・福井の3拠点生活中。著書に『35歳からわたしが輝くために捨てるもの』『クローゼットがはちきれそうなのに着る服がない!そんな私が、1年間洋服を買わないチャレンジをしてわかったこと』など。2月には12年ぶり2冊目の絵本『きっとそこにいるから』を出版予定(写真:著者提供)

小さい頃から絵を描くことは好きでしたが、それを職業にできるとは思っていなかったんです。「もうこの年齢だし、今から新しいことなんてやれるわけがない」とも思っていて、立ち止まっているような状態でした。ところが、そんな私の前にドアが見つかります。

きっかけは、たまたま応募してみたイラストコンテストでした。入選はしませんでしたが、主催の会社から「通信教育でイラストの勉強をしませんか」という郵便物が届いたんです。それはただの勧誘だったのですが、当時の私は「えっ、イラストの勉強って今からでもできるの?」と思いました。

まわりの人に相談すると「そんなのだまされてるよ、通信教育なんか受けてもダメだよ」と。でも私は「自分が本当にやりたいことはやっぱり絵を描くことなんだ!」と気がついたので、思いっきり絵を勉強してみたいと話したんです。すると、「それなら東京の学校へ行ってみたら?」と言ってくれる人がいました。

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