訪日客向けの広告宣伝も不十分なままに2018年5月には移転し営業を開始。だが、I氏が思い描いていたようなにぎわいを見せることはついになかった。移転前の患者に移転後のクリニックの場所などの周知をしていなかったことで、既存患者も激減。クリニックでは閑古鳥が鳴いていたという。
そこを異常なコスト構造が襲う。まず賃料だ。最新の高層ビルの24階フロアの270坪を借りており、賃料は月1300万円に上った。加えて人件費もかさんだ。在籍していたスタッフは40人以上。売上高5億円弱の医療機関としてはあまりに多い人員である。人件費負担だけで月1600万円になっていた。
訪日客の富裕層を狙った過剰な設備投資もあだとなった。血液浄化(血液クレンジング)装置やエコー検査装置など、高額な医療機器を次々に導入。毎月のリース料も1000万円規模に上った。こうして資金繰りは急速に悪化していく。
取引先への支払いが滞りがちになっていた2019年の4月、取引銀行の要請もあり理事長が別の医師に交代、経営再建に乗り出した。だが、それでも資金繰りを好転させることはできなかった。スポンサー探しに奔走したものの、ネックになったのが多額の賃料。スポンサーとの話がまとまることはついになかった。
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