国立大学は今、厳しい外部評価にさらされている。独立法人化して6年目の今2009年度は、第1期中期目標の最終年度。すでに3月には、04~07年度の4年間を対象とする目標達成状況に関する評価が、文部科学省の国立大学法人評価委員会から公表されている。
同評価によれば、「基本的には中期目標の達成状況は良好又はおおむね良好」とされている。だが、項目別に見ると、業務運営の改善・効率化については5法人(弘前大学、電気通信大学、三重大学、和歌山大学、福岡教育大学)が「達成状況が不十分である」とされた。また、財務内容の改善では3法人(金沢大学、兵庫教育大学、鳴門教育大学)、自己点検・評価については2法人(東京学芸大学、福岡教育大学)、その他業務運営に関する重要事項では2法人(東京大学、静岡大学)が同じく「不十分」となっている。
現在、国立大学では10年度から始まる第2期の中期目標・中期計画を策定中だ。その第2期では、国からの補助金である運営費交付金について、各大学の「努力と成果を評価」して配分するよう算定ルールを見直すことになっている。「努力と成果」がどう評価されるのかは、まさに国立大学にとって死活問題なのだ。
学部・研究科に期待度で点数づけ
3月の評価には中期目標の達成状況だけではなく、各大学の学部・研究科、研究所、センターなどの一つひとつについて「現況分析」がつけられている。大学が行う教育研究の、いわば「通信簿」だ。
現況分析は「水準」と「質の向上」という二つの観点から評価されている。「水準」については「各学部・研究科等の目的に照らして、当該組織が想定する関係者の期待にどの程度応えているかという視点で判断」することになっている。
「関係者の期待」とは何なのか、あいまいさが残るが、教育研究については定量的指標だけで統一的に評価できないということだろう。「東京大学をはじめとする旧帝大なら、これくらいできて当たり前」などといった社会からの“期待値”も、大学の歴史や地域特性などによって異なることは確かだ。