特色を出さなければ生き残れない
第2期中期目標では、基本的な目標に関して、「大学の機能別分化に関する考え方等も参考にしつつ、自らの特性を踏まえ一層の個性化を図る観点から、明確かつ簡潔に記載」するように、文科省側は求めている。
ここで「機能別分化」というのは、05年に中央教育審議会が答申した「我が国の高等教育の将来像」で打ち出されたもの。
大学は、(1)世界的研究・教育拠点、(2)高度専門職業人養成、(3)幅広い職業人養成、(4)総合的教養教育、(5)特定の専門的分野(芸術、体育など)、(6)地域の生涯学習機会の拠点、(7)社会貢献機能(地域貢献、産学連携、国際交流など)、という各種の機能を併せ持つが、そのすべてを維持するのは無理。いくつかにウエートを置くことで、大学は今後、機能別に分化していく、というのがその内容だ。背景には、限られた予算の中で、いかに効率的に資金を大学間で配分するかという財政上の問題もある。
国立大学の経営を支える国からの運営費交付金は、これまで毎年1%ずつ削減されてきた。民主党の「政策集INDEX2009」には「削減方針を見直す」と書かれているが、財政上の制約もあり、どのような形になるかは、まだ未知数だ。
公共経済学が専門で大学経営問題に詳しく、国立大学協会がまとめた「国立大学の目指すべき方向-自主行動の指針」作成にも参加した、東京学芸大学の田中敬文准教授は語る。「国立大学は自らの強みに特化し、個性化を図ることで“身の丈”に合った規模になる必要がある。不足部分は他大学と連携し、カリキュラムを共同開発したり、教員の相互交流を図るなどの工夫で対応できるはずではないか」。
自らの強みに特化していけば、高い外部評価を得る可能性も拡大するだろう。第1期中期目標については、項目や記載内容が総花的、横並び的であるとの批判も強かった。
あらためて大学の個性化が問われる第2期中期目標。文科省の正式認可を経て年度内には公表されるが、各大学の真価が問われるところだ。
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