一定の期間に上げた利益を、株主に配当などで還元しなければならない企業とは異なり、大学はより長期的な視野に立って経営を行っている。資金繰りに窮するほどの損失ともなれば話は別だが、単年度の赤字、黒字は企業ほどには重要視されない。学生に質の高い教育を永続的に提供し、高水準の研究活動を続けていくだけの財務力を維持できるかどうかが重要なのだ。
「本当に強い大学ランキング【2009年版】」(→こちら)の総合ランキングは、基本的には単年度実績に基づいて算出している。そのため、周年事業で多くの寄付金が集まったり、大きな資産売却があったり、反対に2008年度決算のように巨額の有価証券評価損などがあったりすると、順位は大きく変動することがある。いわば「その年度でいちばん実力を発揮した(発揮できなかった)大学はどこか」という観点からのランキングであり、直近のダイナミックな変化を見て取ることができる。
その一方で、大学経営の安定度を見るためには、別の分析方法もあるだろう。ここでは経常収支の中期的な動きに着目してみた。
4期連続黒字の大学は62校
経常収支は、企業でいえば売り上げに相当する帰属収入から消費支出を引いたもので、帰属収支(差額)ともいう。消費支出には人件費や教育研究費、管理経費といった経常的な費用のほか、資産処分損や有価証券評価損などが含まれる。
大学の会計には、キャンパス用地や校舎などの固定資産の取得や、奨学金・研究基金などのために大学が資金を内部留保する「基本金」という仕組みがある。経常収支は、この基本金の積み立て原資にもなる。単年度の黒字、赤字に一喜一憂することはないとはいえ、経常収支が黒字であれば、さまざまな教育研究投資を実現することができる。
そこで、05年度から直近の08年度まで4期連続で経常収支が黒字であった大学を、週刊東洋経済2009年10月24日号の別冊とじ込み付録「大学四季報」掲載の私立大学104大学から抽出してみた(正確には、そのうち06年度「大学四季報」より今回までの継続掲載大学)。