少子化による18歳人口の減少という構造問題に加えて、経済危機が直撃し、ますます厳しさを増す大学経営。地方の単科大学では、2010年度からの学生募集停止を公表するところも出てきた。
国立大学も、今のところ私立大学のように定員割れに苦しむことはないものの、国からの補助金である運営費交付金は年々削減されてきた。第2期中期目標が始まる10年度からは、交付金が「努力と成果」に基づいて配分されるよう算定ルールが見直されることになっている。私立、国公立を問わず、今こそ大学の「真の実力」が問われている。
週刊東洋経済では、11の指標を用いて大学の総合力を測る「本当に強い大学」総合ランキングを毎年発表している。(2008年版ランキングはこちら)
対象は、週刊東洋経済2009年10月24日号の別冊とじ込み付録「大学四季報」の掲載大学だ(今年度は私立104、国立62、公立7の合計173大学)。最新の財務情報や就職率などの学生情報、補助金の獲得状況といったデータを基に各指標を計算。指標ごとに偏差値を算出し、その獲得点の平均を大学の総合ポイントとしてランキングしている。
大学の実力を見るカギは財務・教育・就職の三つ
11の構成指標は大きく「財務力」「教育力」「就職力」の3項目に分類される。
大学の教育研究活動を支えるのは安定的な財政基盤だ。それを測定するのが、財務力の4指標。そのうち、志願者数は大学の収入に直結する受験者数の動向を表すもので、5年前と比較した増減率を使っている。
財務力を基に、いかに教育の質を高めていくか。そうした観点から選んだ指標で構成されているのが教育力だ。そのうち「GP等採択件数」は、文部科学省が優れた教育改革の取り組みを選定、支援するGP(Good Practice)の採択件数である。年度によって制度が変更される場合があるが、本ランキングでは教育支援や学生支援に関連するGPを選んでカウントしている。科学研究費補助金は直接的には大学の研究力を表しているが、高度な研究水準が教育面にもプラス効果をもたらすとの考えから指標に取り入れている。