そうした教育力の成果は、学生が卒業後、社会人としてどのように活躍するかに表れる。それを定量的に測る指標で構成されているのが就職力だ。その中で、「就職上位層の30歳年収」は主要405企業への就職実績と、週刊東洋経済が独自推計している「年齢別年収・生涯給料推計」によって計算したユニークな指標だ。
なお、国公立大学と私立大学とでは決算方式が異なる。そのため、財務データを基に算出する指標については、国公立と私立でそれぞれ偏差値を算出し、その結果を採用している(各指標の詳細については13ページの「各指標の出所」を参照)。
相互に関連する3項目11指標に基づいて、国公私立大学を横並びで比較分析、ランキングした最新結果が09年度版「本当に強い大学」総合ランキングだ。
■ランキング表は4ページめ以降にあります。
・総合1~20位 [財務力詳細]--4ページ
・総合1~20位 [教育力詳細]--5ページ
・総合1~20位 [就職力詳細]--6ページ
・総合21~60位 [財務力詳細]--7ページ
・総合21~60位 [教育力詳細]--8ページ
・総合21~60位 [就職力詳細]--9ページ
・総合61~100位 [財務力詳細]--10ページ
・総合61~100位 [教育力詳細]--11ページ
・総合61~100位 [就職力詳細]--12ページ
不動のトップ東大、上位には変動も
総合ランキングのトップ100を見てみよう。
1位は4年連続で東京大学。志願者数は5年前に比較して10%の減少。就職率も6割台と低いが、何といっても東大の強みは資金獲得力にある。科学研究費補助金(科研費)は約200億円と国立大学の中でも断トツ。受託研究費や寄付金なども多い。さらに、就職力も上場企業役員数では国立大学の中でトップに立っている。
慶應義塾大学は、今年も2位のポジションを死守した。約170億円という巨額の有価証券評価損の計上を余儀なくされ、企業でいえば当期利益に相当する「消費収支差額」は前期の85億円の赤字から、08年度は269億円の赤字へと悪化した。同様に大きな運用損失を計上した大学の中には、ランキングの順位を大きく下げたり、さらにはトップ100から落ちた大学もある。だが、慶應大はそうした逆風の中にあって、私立大学ではトップの科研費や高水準の就職率、東大を上回る上場企業役員数など“底力”を見せた格好となった。