ローソン「元日休業」の舞台裏とオーナーの本音 客離れを心配、24時間365日営業は変わるか

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ただ、元日休業が正式な制度となっても、実際に全国各地で広まるか疑問が残る。休業によって顧客離れが起きる恐れがあるからだ。

前述の有安氏は、元日休業に賛成というわけではない。有安氏は「正月や日曜祝日に売り上げが低いから閉店するという考えを否定するわけではないが、私は『あそこは開いていない』と思われて顧客の支持を得られなくなると、商売としては負けだと思う。売り上げが低い日でも、閉めることが正解かというと考えざるをえない」と心情を吐露する。

1店舗オーナーの休業への恐怖感

それでも実験に参加するのは、「元日にコンビニが休業することへの答えはまだない。答えがないことはやってみるべきだという考えなので引き受けた。元日の休業後に顧客が競合店に取られるか確認していく」という。

有安氏のように複数店舗を経営するオーナーと違い、1店舗のみを経営するオーナーは置かれた状況が異なる。有安氏は「1店舗のみ経営するオーナーは休業して顧客を競合に取られたら生活できなくなるので休業を行うのは怖いのではないか」と推測する。

今回の元日休業実験は吉と出るのか。その結果いかんで、コンビニの「働き方改革」のゆくえは、大きく左右されることになる。

遠山 綾乃 東洋経済 記者

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とおやま あやの / Ayano Toyama

東京外国語大学フランス語専攻卒。在学中に仏ボルドー政治学院へ留学。精密機器、電子部品、医療機器、コンビニ、外食業界を経て、ベアリングなど機械業界を担当。趣味はミュージカル観劇。

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