「ミイラ43体」に隠されたそれぞれの人間ドラマ 大盛況「ミイラ展」はこう見ると面白い
ミイラは情報の宝庫
ミイラとは、生前に近い姿を長く残している遺体のことだ。人為的に作られたものもあれば、たまたま自然になったものもある。この展覧会では、エジプトはもちろん、南米インカ帝国時代のもの、高校の理科室から発見されたものなど、地域も時代もさまざまな43体を見ることができる。
「ミイラは情報の宝庫なんですよ」と坂上和弘さんは語る。遺体を土葬や火葬にすると、普通は骨しか残らない。その骨もいつかは消えていく。しかし、ミイラには皮膚、内臓、髪の毛などが残っている。どんな遺伝子を引き継ぎ、何を食べ、どんなふうに亡くなり、どう処理されたのか、現代の科学技術を使って多くの情報を引き出すことができるのだ。
例えば、医療用のCTにミイラを通して断面を撮影すると、病気や骨折の跡、死因などがわかる。最近では、原始的な生活をしていたはずの数千年前のミイラが、かなりの確率で動脈硬化になっていたという研究発表があった。
こうした生物学的なことに加えて、「人が作ったミイラは、作った人の考え、センス、作り方など、いろいろなものが集約された文化のかたまりです。過去の文化を知るための情報源でもあるんです」。ミイラから人間の歴史が見えてくる。
では、坂上さんとミイラを見ていこう。
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