「ミイラ43体」に隠されたそれぞれの人間ドラマ 大盛況「ミイラ展」はこう見ると面白い

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《ウェーリンゲメン》 オランダ、紀元前40年頃~後50年頃

ドレンテ博物館 Collection Drents Museum, Assen, The Netherlands.

悲劇のベールに包まれているのが2人組の《ウェーリンゲメン》だ。1904年にオランダのウェーリンゲ近郊の泥炭地の湿地で発見された。亡くなったのは紀元前40年頃~後50年頃。骨はほとんどなくなり、皮膚だけの状態になっている。人為的にミイラにされたのではなく、泥炭によって微生物の活動が抑えられ、遺体が自然にミイラ化したと考えられている。酸性の強い泥炭地では骨が溶けて皮膚が残り、アルカリ性が強いと骨が残るそうだ。

「同じ湿地から、ほかにも何体か見つかっているのですが、大部分が物理的な暴力を受けて亡くなった痕跡があるんです。この2人には首がなく、大きいほうの人の胸の上にあるヒモ状のものは小腸と考えられています。処刑されて埋められたのか、あるいは地母神への捧げものにされたのか、諸説あって真相は明らかになっていません」

大柄な人がもう一人の腰に手を回して抱擁しているように見えるので、男女のカップルと考えられていたが、後の研究で男性同士と判明した。

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