最後に、ウイスキーの語源についてもふれておきたいと思います。
もともとは、ケルト民族の言葉Gaelic(ゲール語)の uisge beatha(スコットランド)やuisce beatha(アイルランド)が語源のようです。「ウィシュケ・ベハ」というような発音だったようで、16世紀くらいにはusquebaughという英語の単語になり、whiskybaeという英語ふうのつづりを経て、現在のwhiskyという単語に短縮されたのだそう。
uisge/uisceは「水」、beathaは「命」という意味なので、ウイスキーの語源は「water of life(命の水)」とのことです。でも、whiskyに短縮されてしまったので、単に「水」って言っていることになります。「どうりでガブガブ飲んでしまうわけだ!」という言い訳に使うことにしましょう。
この「命の水」はラテン語で蒸留酒を指していたaqua vitae(命の水)をゲール語に翻訳したものだと言われていますから、蒸留酒の作り方と一緒に、「命の水」という呼び方も輸入されたのでしょう。このラテン語aqua vitaeからは、フランス語で「ブランデー」を意味するeau-de-vie(直訳すると「命の水」)や、ロシア語で「ウォッカ」を意味するvodka(直訳すると、voda〔水〕に「小さい」という意味を加えた「小さい水」)などもできたそうです。
なんと、言語的には、ウイスキーもブランデーもウォッカも、みんな親戚みたいなものだったんですね。
whisky それとも whiskey?
ウイスキー好きの方なら、すでにご存じかもしれませんが、英語にはウイスキーのつづりが2つあります。ぜひ、ウイスキーのラベルを見てみてください。
筆者の手元にあるウイスキーでちょっと見てみますと、スコッチウイスキーの1つ「Talisker(タリスカー)」にはSingle Malt Scotch Whiskyと書かれています。一方、アイリッシュウイスキーの1つ「Connemara(カネマラ)」にはPeated Single Malt Irish Whiskeyと書かれています。実はこれ、どこの国のウイスキーなのかによって使い分けられるのです。
世界的なウイスキー生産国として、スコットランド、アイルランド、アメリカ、カナダ、日本の5カ国が有名ですが、これらの国で作られるウイスキーは「世界の5大ウイスキー」と呼ばれています。そのうちの2つ、スコットランドで作られるスコッチウイスキーはwhiskyというつづり、アイルランドで作られるアイリッシュウイスキーはwhiskeyというつづりだというのは上記に書いたとおりです。では、ジャパニーズ、アメリカン、カナディアンはどうなのでしょう?
実は、アメリカンはwhiskey、そしてカナディアンとジャパニーズはwhiskyというつづりを使用しています。皆さんもウイスキーがお手元にあれば、ぜひ確認してみてください。ただし、アメリカンの中にはMaker’s MarkやGeorge Dickel、Old Foresterなどのように例外的にwhiskyというつづりを使っているものがあります。
飲み方から語源まで、味わい深いウイスキーの世界。新年会で披露するうんちくとしてでも、お役に立てばうれしいです。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら