永すぎた春に終止符。住信、中央三井が統合--三井住友FGとの関係が焦点に
住友信託銀行と中央三井トラスト・ホールディングスが2011年春をメドに経営統合する方針を固めた。実現すれば総資産36兆円、信託財産119兆円となり、総資産は三菱UFJ信託銀行を抜いてトップに立つ。
「ようやく決めたか」。金融界にはそんな反応が広がっている。実際、両行の統合話は金融再編が相次いだ00年以降、浮かんでは消える状態が続いた。ネックとなったのは公的資金だった。メガバンクより1年半も早い04年初に完済した住友信託に対し、中央三井にはまだ多額の公的資金が残る。そのため住友信託が難色を示してきたのだ。
“永すぎた春”の間、両行は独自路線を強めた。住友信託は財務余力を駆ってM&Aを次々と実施。05年に松下リース・クレジットを買収、SBIホールディングスと提携、06年に八千代銀行に出資するなど矢次ぎ早に動いた。
一方の中央三井はバランスシートを膨らませずに収益を上げるべく、フィー(手数料)ビジネスに傾注。投資信託の販売や利ザヤの高い不動産ノンリコースローンなどを手掛けた。早めに新分野に進出し、他社が参入して利ザヤが薄くなると撤収に転ずるのは、田辺和夫社長の真骨頂だ。
業績悪化で路線転換
だが、こうした独自路線も金融危機で再考を余儀なくされた。信託銀行は財産を受託し運用・管理するという業務の性質上、資産価格の変動の影響を大きく受ける。強みが不動産仲介とそれに伴う受託や融資に偏るため、不動産市況の悪化がもろに響いた。また年金や投資信託なども、資産価格が下落すると連動して信託報酬を下げてしまう。
信託銀行は店舗網が少なく個人客も富裕層に限られる。法人融資先は限界的で優良先のメインバンクにはなりにくく、結果として、相対的に信用力の劣るノンバンク向けなどの融資を多く抱える。