「息子を伸ばす母親」たちの接し方の"共通点" 家庭で「自己肯定感を育てる」コツ

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子供の自己肯定感を育むうえで、思春期は親が関われる最後のチャンスです。この後になると、子供は自分自身の手で、自らの自己肯定感を作り上げていかなければならず、親の働きかけも響かなくなっていきます。

では具体的に、どのような関わり方をしていけばいいのでしょうか。実は驚くほど簡単な方法があります。しかし、簡単な割に実行している方はそれほど多くないというのが、私の印象です。

それは「お手伝いをさせる」ことです。娘にはお手伝いをさせるのに、息子にはそれほどうるさく言わないご家庭もあるでしょう。かわいい息子のために、大きくなっても身の回りの世話をあれこれ焼いてしまうお母さんも多いものです。また「手伝ってもらうと、かえって面倒」という理由で、あえてお手伝いから遠ざけている方もいます。

家庭の中で役に立つという経験をさせ続ける

しかし、これではいけません。お手伝いはただ単に、家事のスキルを身に付けさせるためのものではありません。それは子どもに、「家での居場所」や「家族の一員」としての、安心感を提供することにもなるものです。「自分はここにいる必要がある」「自分はこの家族に必要だ」という気持ちは、その子の自己肯定感を土台で支えるものになります。

私が小さい頃は、子供も立派な家事の担い手でしたから、自然と「親は自分がいなければ困る」と感じていました。一緒に遊んでいた子供たちも、小さな弟や妹を背中にくくりつけて遊んでいました。このような「自分は家族の助けになっている」という気持ちが、知らず知らずのうちに、私たちの自己肯定感を支えてくれていたのでしょう。

現在のように「お手伝いはいいから、勉強してなさい」というような家庭では、「勉強」という柱を失った途端に、自分の自己肯定感を支える拠り所がなくなってしまいます。そして「勉強」で支えられた自己肯定感は、いとも簡単に崩れ去るものです。進学校に進めば自分よりできる人は、掃いて捨てるほどいるものですし、親の期待の学校に受からなかっただけで、自分の存在価値を見失ってしまう子もいます。

ですから、勉強とは別の部分で、家庭の中で役に立つという経験をさせ続けることが、その子の自己肯定感を維持するうえで役に立つのです。例えば、お母さんがだんだんつらくなってくる力仕事、重い新聞を出す、ゴミを出すなどを任せるのがいいでしょう。自分が母親の役に立っていると感じることに加えて、母親より力持ちになった自分に対しての成長を感じることにもつながります。

また、余裕がないとできないことを頼むのもいいですね。自転車のタイヤに空気を入れてもらう、靴を磨くなどは、男の子にぴったりのお手伝いです。

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