「息子を伸ばす母親」たちの接し方の"共通点" 家庭で「自己肯定感を育てる」コツ

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大切なことは、それがたとえルーティンになったとしても、きちんと言葉にしてお礼を伝えることです。「最近、重いものを持つのがつらかったから、助かるわ」「靴がきれいで、気持ちがいいわね」。このように具体的なほめ言葉を聞くことで、男の子は自分のした仕事が役に立っていると認識することができるからです。

息子の話を聞こう

もう一つ簡単な方法があるのですが、これはどうも世のお母さん方には、非常に難しいようです。それは「息子の話を聞く」ということです。基本、お母さん方は、しゃべりすぎです。三者面談で「では、息子さんに話を聞いてみますね」と直接お伝えしても、「うちの息子は〜と考えているんです」などと、お母さんの話が止まらないことは多々あります。

「相手の話を聞く」ということは、「あなたのことを認めている」というサインになります。ですから息子さんの話を聞くことができれば、それは息子さんに「あなたのことを認めている」と伝えることになるわけです。

「そうはいっても、うちの子なんの話もしないんです」と言うお母さんのご意見もよくわかります。ただ、ちょっと振り返ってみてください。お子さんの話に、もしかしたら「意見」をしてはいないでしょうか?

男の子は、「話してストレスを解消する」ということがないため、「話をするなら、きちんとすべて説明しなければ」と思っています。そんなときに、途中で意見を挟まれると、説明するのが嫌になってしまうのです。例えば、サッカー部なのに、いつも体育着の「上着」が真っ黒になっていることを、お母さんが聞いてきたとします。

「ねえ、サッカーをしているのに、なんで毎日体操着の上だけこんなに真っ黒なの?」

『男の子の「自己肯定感」を高める育て方』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

このサッカー部には、新入部員の1年生がボールを磨くという不文律があり、そのため、練習後のボール磨きで汚れてしまうのですが、このようなことを説明することは、男の子にとって非常に面倒くさく感じられます。それでも、ちゃんと、

「ああ、1年がボール磨きしなきゃいけないから」

と説明したとします。そのときに「どうして? 1年生だけがやる必要ないじゃない。みんなでやればいいのに」などと意見されたりすると、途方もない疲れを感じてしまいます。「俺の生きている世界は、そういう世界なんだよ!」と。このようなことが続くと、何を聞いても「べつに」「とくにない」「いろいろ」などの返事しかしてもらえなくなります。

お母さんは、意見をしたい気持ちをぐっとこらえて、聞き役に徹してください。感覚的には、「子2:親1」くらいがベストです。話を聞くだけで、子供の自己肯定感を上げられるのだとしたら、やらない手はないはずです。

(構成:黒坂真由子)

柳沢 幸雄 東京大学名誉教授

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やなぎさわ ゆきお / Yukio Yanagisawa

北鎌倉女子学園学園長。1947年生まれ。東京大学工学部化学工学科卒業。民間企業に勤務後、東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。ハーバード大学公衆衛生大学院准教授、同大併任教授、東京大学大学院新領域創成科学研究科教授を経て、2011年より開成中学校・高等学校校長を9年間務めた。2020年4月より現職。近著に『お母さんに知ってほしい 思春期男子の正しいトリセツ』(SBクリエイティブ)がある

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