「肩書にとらわれない」32歳の自由な働き方 世界を沸かせるヒューマンビートボクサー
SNSによってクリエイティブなコンテンツが国境を越えやすくなった今、アーティストほど「働き方」が劇的に変わっている人たちはいないかもしれない。ヒューマンビートボクサーのREATMO(リトモ)氏もそんな1人だろう。
インスタにあげた動画をあの「マルーン5」に見初められ、ツイッターで応募したアメリカの大規模イベント「サウス・バイ・サウスウェスト」への出場をかけたコンテストで優勝。動画やライブパフォーマンスを見た海外のイベンターがフェスやライブの出演を次々とオファーする――。今や年間の半分を海外で過ごし、全体の仕事の7割は海外関連と、場所や取引相手、肩書きにとらわれない働き方を実践している。
仕事はSNS経由で入ってくる
ヒューマンビートボックスとは、口や鼻からの発声による擬音で、レコードのスクラッチ音やドラム、ミキシングマシンによる音色の変化などを1人で再現する音楽手法だが、その中でもリトモ氏のスタイルは独特だ。例えばライブでは、ドラムのビートやコーラス、ベースといった音を模してそれを録音。その場でその音をアレンジしながら重ね合わせ、「曲」を作っていく。
その独特のスタイルが世界で受け、アメリカやブラジルなど世界中のフェスなどに出演するリトモ氏。最近はもっぱら中国中心で、多いときは月4回訪れる。自宅玄関に置いてある巨大なスーツケースには、所狭しとフェスなどのステッカーが貼ってあり、世界中を飛び回っている様子がうかがえる。
仕事の「入り方」もいたってカジュアルだ。リトモ氏は通常、パソコンを使って音楽を作っているが、そこへフェイスブックメッセンジャーやインスタグラムのダイレクトメッセージ経由で出演オファーがくる。「そこで瞬時に『出るよ』ってギャラの交渉をして、それからそのライブ用の曲を作り始めたりと、一連の流れはものすごくシームレス」だ。
リトモ氏によると、中国では目下、フェスやイベントが増えており、演者をつねに探している状況。ただ、「中国の人はすごくせっかちなので、ギャラの交渉なんかも『じゃあ、いくら欲しいの?』っていうのに対して、その場で答えるスピード感がないと、『もういいよ、ほかに頼むから』という感じになってしまう」。
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