「肩書にとらわれない」32歳の自由な働き方 世界を沸かせるヒューマンビートボクサー

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日本の一般的なアーティストの場合、本人ではなく事務所経由でギャラを交渉するなどのプロセスが必要なことが多いが、そんなことをしている間にチャンスはほかの人にわたってしまうのだ。

「旅をしながらいろいろな人の前に出て行って、コトバは関係なく盛り上げるのがすごく楽しい。1カ所にとどまっているのはあまり好きじゃないので、今のワークスタイルは理想」というリトモ氏にとって、SNSは自身の音楽を世界中に発信する貴重なプラットフォームだ。ユーチューブやインスタ、フェイスブックに加えて、今年からはヤフークリエイターという動画配信や、TikTok(ティックトック)を始めた。

SNSでありのままを出せる人が強い

インスタは海外向けなので洋楽中心、ヤフーは日本人向けなので日本人がわかる音楽、ティックトックであれば少しお笑いっぽいネタと、それぞれの特性にあった動画を作る。中でもヤフーには力を入れていて、月6本をノルマにこれまで50本ほど配信。1週間の再生回数が700万回を上回るものもあるという。

目下、海外でのライブ活動や楽曲提供が多いが、来年2月には東京「青山 月見ル君想フ」でのライブも予定している(撮影:今井 康一)

「自分はヒカキンさんのようなSNSの住人ではないけれど、SNSの特性をうまく生かすことで仕事を広げるということは心がけているし、もっとうまくなりたいと思っている。これからは、どこの会社にいるとか、どういう肩書だとかは関係なく、SNSでありのまま、むき出しの姿を出せる人のほうが強いと思うんです」

実は、ティックトックには当初乗り気でなかった。が、「やってみると、今の若い子たちのノリとか、SNSでのテンションとかがすごく勉強になって、やっと今の空気感をキャッチアップできている気がする」といたって前向き。

実際の成果につながっている実感もある。2015年には、大好きなロックバンド、マルーン5を模した動画をインスタにアップしたところ、メンバーの目にとまって拡散され、それを元に仕事が広がり続けている。

とはいえ、今のキャリアの形は最初から意識していたものではない。「ビートボクサーとして仕事を始めたけれど、自分の今のスタイルがビートボックスなのかもわからない。職業やキャリアについて考えてここにたどり着いた、というより、小さいときにやりたかったことがビートボックスにはまって、気がついたらSNSをやっていて、その延長線上でやっていることが今の肩書のない職業につながっている」とリトモ氏は話す。

そもそもなぜビートボクサーを目指したのだろうか。

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