大塚家具、「ヤマダ傘下」で問われる存在意義 自主再建をついに断念、年明けの資金不足も

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縮小

確かに、大塚家具は不採算店の撤退や大型店の面積縮小といった改革により、賃料など固定費の削減を徹底してきた。山田会長は大塚家具の粗利益率の高さを示し、「売り上げが10%伸びれば黒字化できる」とも語った。

ただ、この数年間、先行きの不安や経営陣に対する不満から、大塚家具が強みとしていた営業力を持つベテラン社員は続々と会社を去っていった。現場の販売力が衰える中で既存店の売り上げはマイナスが続き、黒字化を掲げていた今2020年4月期の業績見込みも12日に撤回し、「営業損失を計上する見込み」とした。

たとえヤマダ傘下となることでのイメージ刷新が図られたとしても、厳しい市場環境の中で売り上げの大きな伸びは見込みにくい。

ヤマダ電機とのシナジーは未知数

ヤマダとの協業によるシナジーも未知数だ。現在、ヤマダの約20店舗に対して大塚家具から商品を供給しているが、両社の売り上げへの貢献度合いは微々たるもの。家電と家具両方を購入できるようになれば利便性はあがるとはいえ、低価格のイメージが根強いヤマダの店舗で、中~高価格帯を強みとする大塚家具の商品をまとめ買いする需要がどこまであるかは不透明だ。

「家具のビジネスと関係者に対する愛情があるから、そういう意味で(会社の経営に対する)執着はある。やはり会社は守っていかないといけないもの」。6月に実施した東洋経済のインタビューで、久美子社長はこのように語っていた。

ヤマダの傘下となって資金繰りへの不安は消えても、大塚家具が現状のビジネスモデルで成長戦略を描くことは容易ではない。「結果主義」を標榜する山田会長の下、久美子社長は来期の黒字化という大きな課題をどう達成するかが問われることとなる。

真城 愛弓 東洋経済 記者

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まき あゆみ / Ayumi Maki

東京都出身。通信社を経て2016年東洋経済新報社入社。建設、不動産、アパレル・専門店などの業界取材を経験。2021年4月よりニュース記事などの編集を担当。

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