ヤマダSXL、名門住宅メーカーが落ちた泥沼 業績悪化で株価も急落、何が起きているのか

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東京・表参道にあるヤマダ・エスバイエルのモデルハウス。「自然と暮らす住まい」がコンセプト(編集部撮影)

まったくもって、“お粗末な”決算だった。

ヤマダ電機傘下の住宅メーカー、ヤマダ・エスバイエルホーム(以下、ヤマダSXL)は4月19日、2018年2月期の通期決算を発表した。

売上高は前期比12.6%増の491億円と増えたものの、営業利益は9.6億円の赤字(前期は6000万円の赤字)と2期連続の損失を計上。一方で連続営業損失を機にこれ幸いと住宅展示場などを減損したこともあり、当期純益は27.5億円の赤字に膨らんだ。

リフォーム事業の失敗が下振れの要因

会社側は業績急変の理由を、「リフォーム事業の一環として取り組んだ特殊大型案件の採算が悪化したため」(経営企画部)と説明する。

会社側はこの物件に関して詳細を明かさなかったが、今回手掛ける案件は、従来から手掛けてきたリフォームと違い、延べ1万室の原状回復工事が集まることで大きな額になったリフォーム案件だという。「非個人向けの、はじめて着手するといってもいいくらいの工事」(同)

ただ、こうしたリフォーム案件は手間がかかり、スケールメリットが取りにくい、低採算性の案件だ。改装・改築する元の躯体や内装に関する設計図が残っていないことも多い。残っていても、図面と実際の施工物とが一致しないことはざらにある。このため当初の見積もりと、実際に行う工事とが乖離することで、工事原価も当初の見込みとは違ってくる。

大幅な業績下方修正となったのは、この大型リフォーム案件で原価管理や施工体制の不備、販管費の見積もり方がずさんだったこと。さらに追加・変更が発生したことによりさらにコストがかさみ、人件費が膨らんだことが主因だ。

さらにリフォーム事業に傾注するあまり人員配置が偏り、主力である注文住宅の着工も遅れ、引き渡しが2019年2月期へずれ込んだ。まさに業績悪化ドミノ倒しが起きた状態だ。

今回のヤマダSXLの決算がお粗末だった点は、2018年2月期の通期業績発表と同時に、3カ月前に発表した2017年3~11月期(第3四半期)の業績を大幅に下方修正したことにある。

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