ヤマダSXL、名門住宅メーカーが落ちた泥沼 業績悪化で株価も急落、何が起きているのか

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ヤマダ電機の傘下に入る前の旧エス・バイ・エルは、創業者の名を冠し、先駆的なデザイン性や耐久性に優れた「小堀ブランド」の高級注文住宅で名を馳せた老舗メーカーだった。それが低価格帯住宅に参入し、量を追うあまりに値引き販売を濫発したことで施工現場が混乱。業績凋落の遠因となった。

迷走する販売戦略

また、値引き販売に慣れることで原価率は上昇、薄利多売で利益を出せているうちは良かったが、受注棟数減とともに利益を圧迫していった。

荒川元社長以後は、タマホーム、ヤマダ電機など、低価格路線を得意とする企業の出身者しか、社長に就任していない。低価格品と高級品を売る営業では、手法だけでなく販売哲学までまったく違う。

会社は高級ブランド「小堀の住まい」の復活を掲げるが、同じ展示場内でヤマダグループの低価格住宅「ヤマダ・ウッドハウス」を販売するなど販売戦略にも迷走感がある。

工事契約に伴う収益認識の甘さなど、建築業とは違う小売り文化が入り込むことで混乱に拍車をかけているようにも見える。かつての名門はいつになったら復活できるのか。端緒は見えてこない。

筑紫 祐二 東洋経済 記者

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ちくし ゆうじ / Yuji Chikushi

住宅建設、セメント、ノンバンクなどを担当。「そのハラル大丈夫?」(週刊東洋経済eビジネス新書No.92)を執筆。

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