大塚家具、「ヤマダ傘下」で問われる存在意義 自主再建をついに断念、年明けの資金不足も
ただ増資後も、売り上げが回復することはなかった。今年の既存店売上高は、消費増税の駆け込み需要があった9月以外、すべての月で前年割れが続いている。
手元資金も減少の一途をたどる。今回の大塚家具の開示資料には、「保守的な計画値では2020年2月に(大塚家具の)現預金は約1.5億円となり、銀行借入等の資金調達が困難であることを前提とすれば、その翌月には資金が不足する可能性がある」と記載されており、資金繰りの苦しさが読み取れる。
イージーホームとの資本提携の兆しも見えず、市場関係者らによると、資金調達の最終的手段として、MSCB(転換価格修正条項付き転換社債)の発行に向けた具体的な検討に入っていた。そこへ以前から出資を打診していたヤマダが11月に資本提携に向けて同意する意向を示し、一気に話がまとまった。
出資を断り続けたヤマダはなぜ翻意したのか
自主再建は断念せざるを得なかったにせよ、自身の社長続投を許されたという意味においては、久美子社長にとって申し分のない提携となったともいえる。12日の会見で久美子社長は、「今回の提携を軌道に乗せることが経営陣の責任。引き続き全力を尽くしたい」と表明。山田会長も「来期の黒字化という目標へ、チャンスを与えなければいけない」と述べ、久美子社長を続投させる意向を示した。
一方、ヤマダはなぜ、今になって大塚家具の子会社化を決めたのか。ヤマダは2018年半ばにも大塚家具から出資を打診されたが、その際には拒否し、今年2月の業務提携にとどめた経緯がある。山田会長はこのタイミングで子会社化を決めた理由について、「改革の推移を見守る中で来期の黒字化を目指すことに手応えを感じてきた。そこまでの時間が必要だった」と説明した。
しかし、子会社化の決め手が黒字化の手ごたえだけなのか疑問が残る。山田会長は「大塚さんは(マスコミの)皆さん方にいろいろと騒がれて、えらい目にあってきた。ちょっとテコ入れをして、信用不安が解消すればすぐに回復する」と強調。久美子社長が直面してきた状況を慮っているかのようにも見えた。
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