意外!織田信長の気遣いあふれる手紙の中身 信長に学ぶ相手の心をつかむ文章3ポイント
人はつい、自分のことをわかってくれている、と思うあまり、「自分目線」で文書を書いてしまうものです。結果、企画のプレゼンであれ、お願いメールであれ、独りよがりの文章構成になってしまい、相手の心に届かなかった、ということも少なくありません。
では、文章で相手の心をつかむには、どのようなことに気をつければいいのでしょうか。拙著『心をつかむ文章は日本史に学べ』でも詳しく書いていますが、筆者はこれまで多くの日本史に残る手紙を読んできて、次の3つの要素が必須であると考えています。
1. 相手のことを調べたうえで書く
2. 目的に合わせて形を整える
3. 伝えたい内容を明確にし、短くまとめる
いずれも、「令和」の現代を生きる私たちが文章を書くうえでも、大切な要素といえるでしょう。
優しさと気遣いに満ちた内容
この3要素を踏まえた文章として、よきお手本となるのが、意外かもしれませんが織田信長の文章です。この戦国の覇王は、乱世に「天下布武」のスローガンを掲げ、天下統一まであと1歩、と迫った英雄です。彼の存在なくしては、豊臣秀吉も徳川家康も、天下を治める野望すら持てなかったに違いありません。
その信長は、文章の達人でもありました。相手を思い浮かべて、手紙を書く目的に合わせて、巧みに文章を書き分けるのみならず、書体まで変えています。
次に示すのは、家臣である秀吉の妻、おね(のちの北政所〈きたのまんどころ〉)に宛てた、信長の直筆手紙の現代語訳です。
「鳴かぬなら 殺してしまえ ホトトギス」のイメージとは程遠い、優しさと気遣いに満ちあふれた内容となっています。
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