とろける!食感大流行のナゾにせまる?!《それゆけ!カナモリさん》

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

■ストレス社会を背景にしたメッセージづくり

 食品の柔らかさに関しては、現代において低下する一方の「食事の咀嚼回数」との関係が深そうだ。

 『料理別咀嚼回数ガイド』(風人社)によれば、時代の変遷と激減していることがよく分かる。1回の食事あたり、弥生時代は3990回、鎌倉時代2654回、江戸時代1465回、戦前1420回、そして現代620回だという。

 さすがに弥生時代の食べ物は固そうで比べるべくもないが、戦前の数字を見れば、ここ60年で6割減っていることがわかる。簡単に言えば、我々はもはや「固い食べ物に耐えられないカラダ(アゴ)」になってしまっているのではないだろうか。こんなことを書くと、歯医者さんあたりがさらに頭を悩ませそうだが、この流れは止めようもないように思う。若年層の柔らかいもの嗜好だけではなく、高齢化が進む世の中では、固いものは敬遠されがちである。老いも若きも「とろけるLOVE!」なトレンドなのである。

 咀嚼というフィジカルな理由だけではないようにも思われる。とろけるは英語だと「melt」に当たるが、meltは「人の心などが次第にやわらぐ」という意味も持つ。日本語の「とろける」にも、人に優しい、温かいといった癒しのニュアンスが含まれている。

 Googleで検索をしてみる。「とろける」で、検索結果が約 2,590,000 件出てくる。「癒し」で検索する。約 51,000,000 件と、いかに癒しが求められているのか分る数字が表示されるが、続けて「癒し とろける」だと約 1,090,000件が表示される。「癒し」と、「とろける」という言葉はやはり親和性が高いといえる。

 とろける飲料を飲んで「ホッ」。とろけるシチューを食べて「ほ~つ」。その他食品も口中で柔らかく解けていったり、崩れて広がっていったりする食感で「ほっ」と癒されているのが現代人の食の風景であり、現代人のメンタリティーなのではないだろうか。

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事