とろける!食感大流行のナゾにせまる?!《それゆけ!カナモリさん》

 そもそも、この「とろける」は食感を表わす言葉である。食感は、「味や匂いなど化学的刺激であるフレーバーに対し、堅さや粘性・付着性はテクスチャとも呼ばれる」(Wikipedia)という。味覚は現在では、「生理学的には、甘味、酸味、塩味、苦味、うま味の5つが基本味に位置づけられる」が、食感を表わす言葉は日本語において極めて多様であることが知られている。

 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構食品総合研究所の早川文代氏が執筆した2006年の論文「 テクスチャー(食感)を表わす多彩な日本語」が興味深い。

 2003年の調査では、日本語のテクスチャーを表わす語彙は、中国語の3倍にあたる455語が収集できたという。美食の国フランスは226語、フィンランドは71語だというから、その多様性は驚くものがある。

 同論文でさらに興味深い点を列記すると、テクスチャーを表現する日本語の70%が擬音・擬態語であったこと。さらにその中でも「粘り」の表現が多いこと。特に、「にちゃにちゃ」「ねばねば」「ねっとり」など、「に」「ね」ではじまる粘りの表現と、「ぷりぷり」「ぷるぷる」と「ぷ」ではじまる弾性の表現が多いことなどである。

 もう一つ見逃せないのが、テクスチャーには、時代によって変化があるという論述である。1964年の調査との比較で、「もちもち」「ぷるぷる」「ジューシー」などが、今回新しく新しい現れた用語であるという。特に「ぷるぷる」が様々なゲル状のデザートが登場したこととの関係を指摘している。また、「ぷにぷに」「シュワシュワ」などは、低年齢層の認知度が高いという。グミや炭酸飲料などの食用・飲用経験が背景にあるとの指摘だ。また、「口どけがよい」「もっちり」も低年齢層の認知が高いが、これは商品名や広告宣伝の影響を指摘しているという。

 以上かなりマニアックな調査を紹介したが、この調査から「とろける」の大流行の経緯が透けて見えてくる。「口どけがよい」がさらに、発音しやすい「とろとろ」という擬態語に変形して、「とろける」になって、さらにそれが商品名となり、広告宣伝で表示・連呼されさらに増殖しているというのが今日の大流行の現状ではないだろうか。

 しかし、それにしてもなぜ、人は「とろける」にそれまでに惹かれるのであろうか。

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