またぞろ融資書類改ざん「投資用不動産」の受難 不動産業者、銀行、投資家、損をするのは?
投資用不動産に関する融資書類の改ざんが再び露呈した。今度はマンションだ。
東証1部上場のマンション開発業者「コーセーアールイー」は9日、子会社によるマンションの販売に際して、ローン申請書類の書き換えの疑いが発覚したと発表した。
融資書類を改ざん
現在判明している情報では、対象物件は福岡県内のマンション5物件で計6620万円。同社によれば、マンション販売子会社「コーセーアセットプラン」が2016年から2018年の間に、銀行へ提出する源泉徴収票などに記載されている収入の額を100万円程度引き上げたり、中古物件の入居者から徴収している賃料の数字を書き換えたりした。12月3日に外部からの通報を受けて発覚したといい、同社は予定していた2020年1月期第3四半期決算の発表を延期した。
改ざんが行われた書類は、金融機関2行に対して提出された。提出先について同社は調査中としたが、同社と提携を結んでいるのは5行。このうちジャックス、オリックス銀行、福岡銀行、西日本シティ銀行は「現在調査中」とし、西京銀行は「コメントしない」とした。
投資用不動産がらみの不祥事といえば、昨年8月に発覚したアパート建設業者「TATERU」による融資書類の改ざんが記憶に新しい。TATERUの事件以降はアパート、とりわけサラリーマンが土地と建物をセットで購入する際の融資が厳格化され、「融資がなかなか承認されず、物件が詰まっている」(西日本のアパート建設業者)という悲鳴が上がっていた。金融庁も全国の金融機関に対して投資用不動産向け融資の実態調査に乗り出すなど、投資用不動産業界は揺れに揺れた。
厳しい視線を浴びるアパートを尻目に、区分(マンション1室を保有する形態)のマンションは好調を維持していた。アパート1棟よりも価格が安く売却益も期待できるためで、金融機関はアパートに対して融資しづらくなった分、区分マンションへの融資には意欲的だった。だが今回の一件で「マンション業界にも疑惑の目が向けられてしまう」(区分マンション業者)と業界は気を揉む。
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