台風19号の影で「見過ごされた」豪雨災害の数々 グラフィックで振り返る豪雨と台風の2019年

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特設ページでは、台風19号も含めて6つの台風・豪雨災害を解説しています。

九州南部では、6月末から7月初頭にかけて、停滞した梅雨前線が活発化したことによる豪雨が発生しました。熊本県、鹿児島県、宮崎県では合計180万人以上に避難指示や避難勧告が発令され、鹿児島県では死者が2名、5名が重軽傷を負いました。7月3日には鹿児島県の吉ケ別府では1日降水量が460mmに達し、宮崎県のえびのでは6月28日から7月5日までの総降水量が1000mmを超えるなど、記録的な大雨となりました。

7月3日における九州近辺の降水量(特設ページより)

8月6日にマリアナ諸島で発生した台風10号は、8日に勢力のピークを迎えました。アジア名は「クローサ(Krosa)」。その後は徐々に勢力を落としつつ北上し、15日に広島に上陸しました。台風10号は西日本の太平洋側を中心に強い雨と暴風をもたらし、15日に予定されていた第101回全国高等学校野球選手権大会(夏の甲子園)はすべての試合を中止し、16日に順延となりました。特に雨の影響が強かったのは四国。高知県の魚梁瀬では15日に616mmの猛烈な雨が降りました。

8月27日から28日にかけて、九州の北部では秋雨前線と湿った空気の影響で記録的な集中豪雨が発生。長崎県平戸市平戸では28日8時までの24時間で434mmの雨が降るなど、佐賀県や長崎県の各地で観測史上1位の降水量を記録しました。政府は28日明け方に佐賀県、福岡県、長崎県に大雨特別警報を発表。死傷者6名、住宅975棟が全壊・半壊しました。

集中豪雨発生直後の六角川地区(出典:国土地理院「令和元年(2019年)8月の前線に伴う大雨に関する情報」8月29日撮影)

住宅7万棟が被害を受けた台風15号

8月末に発生し、「非常に強い」勢力を保ったまま関東に接近した台風15号は、9月9日に千葉市付近に上陸。最大瞬間風速は神津島で58.1メートル、千葉で57.5メートルなど多くの地域で記録的な暴風となりました。一部破損や浸水などをすべて含めた住宅被害は7万棟に上りました。また、千葉県内では台風15号により送電塔や電柱が倒れ、神奈川県なども含めて約93万戸が停電しました。市原市にあるゴルフ練習場の鉄柱が倒れたのもこのときです。

10月6日の発生からわずか2日で「猛烈な勢力」(中心付近の10分間平均最大風速が105ノット以上)に発達した台風19号は、その後「強い勢力」を維持して12日に伊豆半島に上陸。関東地方を中心として、各地で観測史上1位となる強い雨をもたらしました。

台風19号は関東地方など各地で観測史上1位となる強い雨をもたらした
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