大学行かずポップコーン協会作った21歳起業家 カネ稼ぎにない幸せ見つけた僕のサードドア

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旅では、行く先々でいろんな方にお世話になりました。車に乗せていただいたり、家に泊めていただいたり。でも、つねに恩を受けてばかりで、恩返しができない。それが歯がゆくなっていました。

そんなある日、泊めていただいた農家の方から、爆裂種というポップコーン用のトウモロコシの粒をいただいたんです。作り方を教わり、さっそく次に泊めていただいたお家で鍋を借りて、ポップコーンを作りました。ポンポンポンと音をたてて弾け始めると、そこにみんなが集まってきます。そして、みんなが笑顔になって喜んで食べてくれたんです。

次の家でも同じようにやりました。すると、やっぱりお年寄りからお子さんまで同じように笑顔になってくれる。すごい、ポップコーンはこんなに人を楽しませられるのか!と。そこから旅をしながらポップコーンについて調べ上げました。

起源、歴史、栄養価、ポリフェノールが含まれているし、アレルギーには引っかからない。持ち運びも簡単で、塩さえあればよく、鍋は現地で借りればいい。そうか、映画館や遊園地のような思い出とつながっているから楽しさを想起するんだな、これはいいぞ、すっごく最高だ、もう純粋にポップコーンが大好きだ! 僕はポップコーンと一緒にいたい! どうしたら一緒にいられるんだ!

そうしてたどり着いた答えは「協会を作ってその会長になる」という道でした。調べてみると、日本にはまだこの種の協会はなかった。誰もやっていないなら自分がやろうと考え「日本ポップコーン協会」(https://japoco.info/)を立ち上げたのです。

それが、テレビ番組の「マツコの知らない世界」に出演させていただくところまでつながりました。

ポップコーンは人生だなとも思います。粒によって弾け方がみんなばらばらだし、味付けによってどこまでもバリエーションができる。それぞれの人に、弾けるにふさわしい場所があるんだろうという僕の人生哲学と重なるんです。ポップコーンは僕にとってのサードドアなんじゃないかとすら思うくらいです。

ポップコーンが法人営業のサードドアに

今は、日本ポップコーン協会を運営しながら、2度目の起業として企業向けのSaaSサービスを運営しています。

僕は、会社と協会を対比構造として捉えているんです。会社は、ミッションベースです。ある程度、定量化できる明確なゴールがあり、指揮をとる人がいて、そこに人が集まり、コミュニティーができて、チームとなってゴールという答えに向かって走っていく。

これに対して、協会はフィロソフィーベースです。なにかしらの問いがあり、360度どんなふうに捉えてもいい。定量化できるものでもなく、答えも求める必要はありません。そして、その問いの周りに人が集まり、コミュニティーができています。

会社と協会は違うものですが、つながりもあります。例えば、日本ポップコーン協会では、企業向けに「出張ポップコーン」というイベント活動をしています。この活動を通じて、協会会長としての僕を知ってくださっている方には、会社代表者や決裁担当者の方もいらっしゃいます。

そういった方々が、会社の事業のほうを「面白いね」と言ってくださって、実際に取引の話が進んだり、リーチできる企業が増えたりするのです。

僕がこの年齢でいきなり新規営業のために訪ねても、普通はまず話を聞いてもらえないでしょう。ポップコーンは、法人営業のサードドアのようなところもありますね。

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