マツコ「ハッピーターンCM」が持つ強い訴求感 ソフトバンクの八村塁起用CMも好評だった
「ハッピーターン」の新作が4位に
今期のCM好感度調査では、LINEモバイル『LINEモバイル』と亀田製菓『ハッピーターン』の新作がそれぞれ作品別ランキングのトップ5に入った。
LINEモバイルは、本田翼が「いい湯だな」のメロディーに合わせて歌い踊るという昨年からのヒットフレームを応用し、途中で本田がテレビ画面から飛び出して同サービスのユーザーに利用した感想をインタビューする内容だ。
過去のCMでは「スマホの基本料が月額300円から」という格安の価格設定を訴求しながら、本田自身が「ほんとに、ほんとだよ!」と合いの手を入れていたが、今作ではユーザーが「ほんとに明細見たら安くなっててびっくりしました」と証言する。
企業のメッセンジャーによる宣伝文句よりも消費者側の感想のほうが信頼されやすいと踏んでの演出だろう。さらに「※あくまでも個人の感想です」とチャーミングに強調する点にも、不信感を与えないための工夫が光る。
ハッピーターンは4年ぶりのリニューアルに合わせ、マツコ・デラックスをイメージキャラクターに起用した。CMではマツコが2人の子どもを前後に乗せて自転車をこぐ“ママツコ”に扮する。一度は画面から走り去るが折り返して再度登場し、「ターンよターン、ハッピーターン」と真顔でダジャレを披露。
マツコが自転車に乗るという視覚的なインパクトに加え、リニューアルした商品については「食べたわよ、変わってないわよ」と一刀両断するという想定外の展開だ。
リニューアルの際に改良点を説明するCMは多く見受けられるが、そのほとんどは企業視点の“自画自賛”ともいえる表現だ。とくに製法の開発・改良といった水面下の話はエンドユーザーには関心の薄い情報だろう。今回のハッピーターンはまさに製法のリニューアルで商品のニュース性が弱い分、あえて「変わってないわよ」と言わせることでCM自体にフックを作り、ユーモラスに誠実な企業姿勢を印象づけている。
テレビやCMに対する視聴者の目が厳しくなる中、上記のCMは視聴者の感覚と視点を取り入れた構成で、本来伝えたい企業のメッセージが好意的に受け止められた好事例だ。
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