大学行かずポップコーン協会作った21歳起業家 カネ稼ぎにない幸せ見つけた僕のサードドア

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諦めずにたくさんのドアをノックし続けてほしいというのは、この体験ともつながっています。なんとなくここにしよう、なんとなく居続けておこうという感覚で生きるのではなく、腹落ちするまで自分の将来と向き合って、自分のやりたいことを探してほしいという思いが僕にはあります。

この思いは、現在の事業にもつながります。今年11月にリリースしたばかりの「Kakedas(カケダス)」は、企業内で転職を前提としないキャリア相談ができるサービスです。教育のサービスとは説明していませんし、誰もそのように感じないかもしれません。でもここには、「人生の主人公を増やしたい」という僕の考えが反映されています。

自分のルーツがサードドアを開ける

高校生のときに地元の地域活性化に取り組んだ体験は、僕や一緒に取り組んだみんなのアイデンティティーになる出来事でもありました。僕は、これがとても重要なことだったと考えています。

地方創生や教育に取り組もうという僕の視点は、長野に育ったからこそ芽生えたものでもあります。東京のビジネスコンテストに出かけると、私立の学校で、留学経験があって、バリバリ優秀な学生たちが集まっていました。地方参加者はほんの少しだけ。ヤバい、僕は長野という井の中の蛙だったんだ、そう思い知らされて自信を失いました。

でも、そこで考えるわけです。待てよ? 長野に生まれて、地方創生という大きな課題を解決しようと考えている、これは僕にしかできないことじゃないか、と。

自分のルーツ、地域アイデンティティーというものは、自分が変えることのできない、揺るがない部分です。文化や継承されている伝統なども同じ。そこに目を向けずに、後天的に獲得できるものだけで自分の人生を構築していこうとすると、どうしてもステレオタイプなものに流されてしまいますし、人と同じようなものになってしまう。

ルーツは全員違う。自分の人生の幸せを見つけ、人生の主人公になるためには、そのアイデンティティーから整理する必要があると思います。

言い換えると、自分だけのサードドアを見つけるためには、扉が開くまでドアをノックし続けるくらい、徹底的に自己の内面と向き合い、自分を知る必要があると思います。

僕も自分を知るために、また自分をつくるために、いろいろな実験しています。例えば、高校時代から、朝5時55分に絶対起きることにしています。自分の気分のアップダウンに左右されないで人生をリズミカルに過ごしたいと思うからです。5という数字をそろえたのは、自分の名前がしゅんご、だから(笑)。

それに、寝る前に今日1日にタイトルをつけて、その日の出来事をメモすることもしています。そうすると、短期的には、1日を整理できるというメリットがあるし、長期的には、振り返って客観視できることで、つらい出来事も、「ああ、あれってこの伏線だったんだ!」と新しい視点で見ることができるんです。

自分の人生を、自分が主人公となった1本の映画だとすれば、その映画はハッピーエンドで締めくくりたいと思っているし、そういう人をたくさん増やすことが僕の人生の目標なんです。

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