だが、ちょっと待ってほしい、その病気になる直前の”病気もどき”こそ体のSOS信号なのだ。この連載では看過することのできない”病気もどき”について医療ジャーナリストの安達純子氏が解説する。
腸内環境の悪化
花粉症の時期を迎えたが、今年は昨シーズンより飛散量は少なめとの予想。症状が軽くなることを期待したいところだが、飛散量に関係なく症状が重くなる人はいる。医療機関で処方してもらった薬を飲んでも症状悪化。その一方で症状が軽く済む人いる。もちろん、体内のアレルギー反応に関与するIgE値などが高いと、少しの花粉にも反応しやすく症状は出やすい。しかし、それだけの理由ではなかった。
『アレルギーの9割は腸で治る!』(大和書房)の著者、東京医科歯科大学の藤田紘一郎名誉教授が指摘する。
「腸内環境が整っているかが、症状の悪化に関与しています。腸は単なる消化器官ではなく、口から入る異物から身体を守るために免疫細胞の70%が存在し、免疫機能の要となっているのです。ところが、食生活の変化により、腸内環境が悪く、免疫機能に悪影響を及ぼしている人が多い。結果として、花粉症もひどくなりやすいのです。アレルギーのみならず、風邪やインフルエンザ、ノロウイルスなどの症状も悪化しやすいので、注意が必要といえます」
一般的に腸内には、善玉菌と悪玉菌がいるといわれる。善玉菌が多ければ、腸の働きの1消化吸収、2免疫防御、3解毒――などはスムーズに行われ、アレルギーの症状もひどくなりにくい。逆に、悪玉菌が多いと栄養分が十分に吸収されないどころか、病気や老化の後押しをして、アレルギー症状も悪化させてしまう。善玉菌と悪玉菌以外にも腸内細菌はたくさん存在し、藤田名誉教授は「日和見菌」と名付けている。日和見菌は、善玉菌が増えるとその味方をし、悪玉菌が増えるとその味方になるそうだ。悪玉菌が、日和見菌という大きなサポーターを得ると、さらに腸内環境を悪化させてしまう。
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