台湾「ベンチャー見本市」で日本が注目のわけ 5万人以上が来場、対日投資のきっかけに

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イベントには電機大手や電子部品メーカーなど日本企業約200社が参加。参加した電子部品メーカーの幹部は「自社のような大企業にない視点をもっているベンチャー企業と組んで、新規事業を展開する足掛かりにしたい」と期待していた。

日本以上にマーケットが大きいのが中国だ。ただ、スタートアップ企業にとって中国進出はハードルが高い。中国では「グレートファイアウォール」と呼ばれるインターネットの大規模情報検閲システムなどがあり、グーグルを用いた検索ができないなど制限も多い。ミート台北に参加したスタートアップ企業は「中国の市場規模は羨ましいが、ネットの自由もないところで事業は難しい」と口をそろえる。

グーグルやアマゾンも台湾投資を加速

有望なスタートアップ企業の出現やITと電子機器産業の人材層が厚いこと、政府による環境整備などが相まって、アメリカのIT大手も台湾への投資を強化している。

台湾の経済部(経済産業省に相当)投資審議委員会は10月28日、グーグルの同現地法人に対する日本円で900億円相当の増資案を承認。グーグルは台湾でデータセンターの拡張や新規建設を進める方針だ。同社は2018年に台湾の電子機器大手、宏達国際電子(HTC)からスマホ事業の一部を買収し、AIの研究拠点も開設する。

アマゾンドットコム傘下でクラウドサービスを展開するアマゾンウェブサービス(AWS)もIT研究開発拠点を台北に設置。IBMやマイクロソフトもAI研究センターを新設した。

折しも米中摩擦が続いているなか、アメリカのIT大手が中国で事業を拡大することは容易ではない。スタートアップ企業やIT人材が集積する台湾はアジア事業拡大のための拠点ともなっている。

台湾・国家発展委員会の陳美伶主任委員(日本の大臣級に相当)は「情報に自由にアクセスできることは重要で、政府としてもスタートアップ企業が成長するための環境整備を強化する」と台湾の優位性をアピールする。

アジアの一大IT拠点の1つとして成長を図る台湾。ネックであるマーケット規模を日本への進出やGAFAなどの誘致でカバーする戦略の成否が見えつつある。

劉 彦甫 東洋経済 記者

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りゅう いぇんふ / Yenfu LIU

解説部記者。台湾・中台関係を中心に国際政治やマクロ経済が専門。1994年台湾台北市生まれ、客家系。長崎県立佐世保南高校、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了、修士(ジャーナリズム)。日本の台湾認識・言説を研究している。日本台湾教育支援研究者ネットワーク(SNET台湾)特別研究員。ピアノや旅行、映画・アニメが好き。

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