京都の「民泊トラブル激増」に苦しむ市民の怒り マンション共有部分にゴミが散乱することも

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この観光客の激増は伏見稲荷大社のみならず周辺地域のありようにも大きな影響を与えることになる。伏見稲荷大社の目の前にあるJR稲荷駅前は季節や平日・週末を問わず外国人観光客でごった返すようになり、観光客のための飲食店や土産物店などの新規出店が相次ぐ。このため、2017年には伏見稲荷大社周辺は基準地価の商業地上昇率において全国1位(上昇率29.6%)を記録したとして大きな話題となった。

そして不動産価格の高騰は伏見稲荷だけではなかった。2017年そして2018年の2年連続で全国の商業地の上昇ランキングのトップ10の半数は京都市内の地点が占めることになった。この背景にあるのはもちろん急増する外国人観光客の需要であり、とくに「乱立」ともいわれるほどのホテルや簡易宿所などの建設・開業ラッシュだった。

こうして京都は「バブルの再来か?」といわれるほどの地価高騰、通称「お宿バブル」に直面することになったのである。

「お宿バブル」が街を塗り替える

一口に「お宿」といってもさまざまある中で京都の「お宿バブル」の主役となったのは、一般的な旅館やホテルよりも小規模な宿泊施設、旅館業法に基づく簡易宿所であった。

大型のホテルなどを建設する広い用地の確保が難しいという京都ならではの事情もあり、2014年度には460カ所だった京都市の簡易宿所が2018年度には2851カ所、そして2019年3月時点では2990カ所と、ほんの数年間の間に約5倍もの数に達するという猛烈な勢いで「乱立」したのである。

(画像:パンクする京都(星海社)より)

もちろん、増えたのは簡易宿所だけではない。ホテルや旅館、そして後述する民泊など、ありとあらゆる規模やスタイルの「お宿」が京都中に乱立した。これは街の景色を塗り替えるのに十分な勢いと数であったといえるだろう。

昔から地域の人々が暮らしていた住まいや店舗が「櫛(くし)の歯が欠けていくように」立ち退き、次々と観光客のための四角いホテルや町家を改装した旅館に建て替えられていく。「お宿バブル」といわれたこの数年間の京都で起きていたことを一言でいうなら、このような街の主役の交代劇であった。

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