「考える」を買う。高橋理子株式会社

あえて不親切な商品が壊す「モノ」の固定観念とは

 何よりも高いレベルのモノづくりがあってこそ

そして、モノづくり。高橋理子さんは自前の生産拠点を持っているわけではないので、さまざまな工場や職人とモノづくりを行っています。高橋理子さんのモノづくりに関して、代表取締役の中村裕介さんは、

「中心にあるコンセプトが重要であって、方法論は問わない。つねに日本製であることや、手仕事である必要はなく、むしろこだわるのは、そのモノづくりだけが社会において必要であるかという意義の部分。さらにいえば、結果ではなく、どのような姿勢で取り組んだかというプロセスが重要なのです」 

 と言い切っています。

この言葉だけを見ると、モノづくりを軽視しているように誤解する方もいるかもしれません。しかし、大事なのは、この会社が美濃和紙や仙台箪笥など、日本の伝統的なモノづくり企業と継続的なコラボレーションを通して、多くの新しい価値を持った商品を生み出していることにあります。

仙台箪笥の老舗・門間屋とのコラボレーションプロジェクト

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「高橋は実際にモノづくりの現場に入り込んでいます。職人さんたちに対して、最高レベルの仕事を要求しますが、それはモノづくりをする人間として、知識を有し、同じ言語で状況を把握したうえで、たどり着くべき目標を共有してこそです」 

と中村さんは言います。 アーティストの高橋理子さんは、東京芸術大学の工芸科で染織を学び、博士号を取得しており、着物をはじめとした日本のモノづくりの専門家ともいえるのです。だからこそ、80代の熟練の職人さんとも専門的な言葉でコミュニケーションがとれるし、技術に関しても、高いレベルで共有できます。

 「高い意識を持ち、自らの技術にプライドを持つ職人の方々は、高橋が目指すモノづくりによるメッセージに共感してくれていますよ」

エッジが効いたデザインと、高いクオリティに固執する姿勢は、職人さんたちが一緒にやることに拒否反応を示すのではないかと思ってしまいますが、それも私たちの固定観念なのです。

次ページ「考えるを買う」は「お客様第一」のアンチテーゼ
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